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中毒性表皮壊死症と消化器障害

2025.09.24

投稿者
クミタス

中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症。Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)とは医薬品や、一部のウイルスやマイコプラズマ感染などにより免疫学的な変化が生じ、皮膚や粘膜、眼:結膜などに病変が起こるとも考えられています。薬剤使用後に「38℃以上の熱」、「目の充血」、「くちびるのただれ」、「のどの痛み」、「皮膚の広範囲が赤くなる」といった症状が続いたり、急激に悪化することがあります。
中毒性表皮壊死症のケースから
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2148
中毒性表皮壊死症においては、腹痛、下痢、下血、腹痛、小腸潰瘍、大腸穿孔、腸重積などの消化器症状・障害、肝機能障害、肺炎、閉塞性汎細気管支炎、間質性肺炎、腎前性腎不全、白血球や血小板減少、皮膚や粘膜のびらんに伴う二次的な細菌性感染症・敗血症を合併する場合があります。
 
34歳男性。複数の鎮痛薬を服用中に発熱、下痢、眼球結膜充血、口唇びらん、体幹、四肢に弛緩性水疱、手掌足底に緊慢性の水疱が出現した。感染症は否定的で、体表面積の10%以上の水疱・びらんがあり、皮膚生検で表皮の全層壊死を認めたことから、薬剤性中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis : TEN)と診断され、ステロイド全身療法、免疫グロブリン療法を開始した。25日後に下痢症状は消失、30日後に皮疹は上皮化し、後遺症を残さず治癒した。薬剤誘発性リンパ球刺激試験ではアセトアミノフェンのみ陽性、パッチテストでは全被疑薬陰性であった。中毒性表皮壊死症の副作用報告の多いアセトアミノフェン、トラマドール、カルバマゼピンの中止が指示された。自験例では早期治療介入により、消化器の粘膜病変が速やかに改善し、敗血症の予防と予後改善に繋がったと考えられた(出典・参照:住谷茉帆, 楠谷尚, 福岡里紗, 深井和吉, 阿部桂奈, 今西明子, 前川直輝 大阪市立総合医療センター皮膚科 大阪市立総合医療センター感染症内科 馬場記念病院皮膚科 重篤な消化器症状を伴った中毒性表皮壊死症の1例)。
 
上記報告では、消化器症状を伴った中毒性表皮壊死症の場合、後遺症が残る場合や外科手術が必要となる場合もあるため,適切な評価と早期治療が重要と示唆しています。今後も合併例なども含め追記したいと思います。

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