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水筒を提げていて転倒し内臓損傷した例

2025.10.10

投稿者
クミタス

首から水筒を提げていてつまずいて転倒し、腹部を強打、内臓損傷し開腹手術が必要になったケースについて掲載します。

小学校へ登校中、学校内に入ったところ(下は硬い土)でつまずいて転倒した。走っていたため、かなり勢いがついて回転したように転んだが、そのときに地面とお腹の間に首から提げていた水筒が挟まり、腹部を強打した。水筒は蓋側を下(地面側)にして、底の部分でお腹を打った。受傷後よりぐったりして嘔吐が続いたため近医を受診。内臓損傷の可能性を疑われ、精査加療のために当院を紹介され、受診した。来院時、顔色不良、活気低下、腹痛持続、血性嘔吐を認めた。血液検査にて膵アミラーゼ、リパーゼの上昇を確認。腹部CTにて膵体部の断裂を確認し、外傷性の膵損傷と診断された。その他、肉眼的血尿も少量認め、腎損傷も軽度ながら存在したと考えられた。CT上、主膵管の断裂が疑われたため、開腹にて洗浄・ドレナージを施行。その後も腹痛が持続し、術後5日目に腹部CT再検、腹腔内への膵液漏出持続が疑われたため、再開腹し膵体尾部切除・脾臓合併切除。その後症状はいったん治まったが、14日目にドレーンから突然出血を認めたため、緊急開腹術を施行したところ、脾動脈からの出血を認めた。膵液瘻により動脈結紮部が溶解したことによる出血が疑われた。出血の原因となっている動脈を結紮し、以降出血は認めず、腹痛も治まり退院。膵臓を50%程度摘出し、脾臓も摘出したことで、今後糖尿病の発症や肺炎球菌などの感染に注意が必要になると考えられた(出典・参照:Injury Alert(傷害速報)No. 59 水筒による膵外傷)

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