花粉症は学童期以降の発症が多いと見られていましたが、2歳ごろには花粉に感作している(免疫応答が始まっている)割合が相当数あると言われています。
樹齢と花粉飛散量との関係
1つの背景として、花粉の飛散量が増えていることが挙げられます。花粉の飛散量が多ければ、花粉に感作する率は高くなり、飛散量が多い状態が続けば症状出現するリスクは高まります。
日本の花粉症の主要要因となるスギ花粉の飛散量は、毎年変動しますが、増加傾向にあります。それはスギの森林面積が増えているのではなく、スギ樹齢が影響しています。
スギは樹齢25年を超えるころから花粉を多く産出するようになり、樹齢30年を超えると多い状態を数十年維持すると言われています。
日本の国土面積の約7割を森林面積が占めますが、その約3割を占めるスギ・ヒノキ人工林の約5割は、昭和33年~47年にかけて人工的に植えられたスギになり、ヒノキは昭和38年~52年生がヒノキ人工林全体の約4割を占めると言われ、樹齢30年ごろから花粉を飛散させるようになります。
日本で初めてスギ花粉症が報告されたのは1964年ですが、植林したスギ、ヒノキが樹齢25年、30年を迎える1970年代中頃から花粉量が一気に増大し、花粉症発症が急増し現在に至ります。
小児の花粉感作状況
昭和60年ごろ以降に生まれた子供は、生まれながらにスギ・ヒノキ花粉などに暴露された状態と言えますが、小児の鼻腔は狭く小さいことから、鼻粘膜の腫脹や鼻汁の分泌がそれほど大きく、多くなくても症状が顕著となりやすく、鼻水が出やすい子なのか、寒がっていたり風邪なのか、花粉症やアレルギー性鼻炎なのか、わかりにくい面があるとの意見もあります。
アレルギー外来における小児の年齢別抗原感作率に関する文献では、特異的IgEの感作率が上昇する年齢として、以下報告があります。
https://www.srl.info/message/cs/2013/0325/01.html
スギ:2歳頃には感作が見られ、3~7歳で感作率が上昇。3歳時点で感作率20%、7歳時点で60%
カモガヤ:2歳頃には感作が見られ、6~10歳にかけて上昇。6~7歳時点で感作率30%超、10歳時点で60%
ブタクサ:2歳頃から感作率が上昇し、9歳時点で感作率30%
アレルギー外来に受診した2歳の4割、6歳の7割が何らかの花粉に感作している状況なのですが、鼻水、くしゃみなどの症状が既に出ている状態でも、2歳、3歳で花粉症が発症するとは思われないことも、少なくないかもしれません。
造林においては、本来は間伐をおこない森林を維持していくのですが、一斉に植林した後は、需要がなくなっても放置状態になってしまっていた地域が多かったことも、花粉飛散量が減らなかったことに影響しているとの見方もされています。花粉症対策には発生源対策がまず求められるところですが、間伐をし本数密度を20%減らすと総花粉量が15%増えたとの報告もあり、間伐を計画的に進め、花粉飛散の少ない品種の植林が進められたとしても、残念ながら飛散量低減化には時間を要します。高度経済成長下での「林力増強計画」のもとの植林が、現在このような形でも影響をしているとも言えますが、スギ・ヒノキ花粉はこの先10年ほどは多い状態が続くとして、出来る対策を考えていくことも必要です。
症状出現を抑えるには
花粉に感作がある方のうち、花粉症の症状が出現している方は6割前後との報告もあります。できることならば、症状出現をしないようにしたいところです。
まずは花粉に暴露する頻度や量を減らすこととして、多く飛散している日の長時間外出時にはマスク着用、衣類に付着した花粉を落として入室、帰宅時のうがい、洗濯物の室内干しなどの工夫を取り入れたいところです。
花粉症もアレルギー性疾患ですが、
・アレルギー性鼻炎の症状のある方では、スギ花粉症の発症率が高い
・アレルギー性鼻炎の症状のある方では、スギ花粉症の発症が低年齢化した
・ダニ抗体陽性者では、スギ花粉抗体陽性率が高い
という報告もあります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibirin1925/95/11/95_11_1127/_pdf
スギの花粉症を発症を抑えるには、アレルギー性鼻炎の症状が出ないようにすること、ダニに感作しないようにすることが有効になる可能性がある、と言えます。
アレルギー性鼻炎の要因となるダニを含むハウスダストの除去を心がけることで、アレルギー性鼻炎の症状出現を抑え、アレルギー性鼻炎の症状が招く鼻腔の炎症を減らすことで、花粉症発症を抑えることにもつながる可能性はあります。
また、花粉症発症からアレルギー性鼻炎発症となる場合もありますので、同様に鼻腔炎症は長引かせないように対処することも必要になります。
花粉症の症状のある方の中でも花粉症の症状が強い方や長期に症状がある方は、その花粉に交差反応のある、果物、野菜に口腔アレルギー症状がでる確率が高まるとも言われています。
学童期前のお子さんでも、花粉症になることはあるとして、症状出現をしないような対策、症状がある場合はできるだけ早期に病院での治療も進め、他のアレルギー性疾患の発症とならないよう、生活面からも対策をしていきたいところです。
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