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2015.07.28
哺乳瓶の洗浄において、防菌に配慮されている方は多くいらっしゃると思いますが、洗浄方法別での菌の発生状況についてお送りします。
清潔なガラス製哺乳瓶(200cc)に調乳を滅菌済ピペットで2ccずつ入れ同一条件下の場所に2時間、4時間、8時問放置した後に
●瓶ブラシで洗浄⇒煮沸消毒(100℃で30分)
48時間後、72時間後ともにグラム陽性桿菌検出
〇自動洗浄機で洗浄⇒煮沸消毒(100℃で30分)
〇超音波洗浄機⇒煮沸消毒(100℃で30分)
48時間後、72時間後ともにグラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌検出せず
●瓶ブラシで洗浄⇒ミルトン消毒(80倍液に1時間漬着)
48時間後グラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌検出せず、72時間後にグラム陰性桿菌検出
〇自動洗浄機で洗浄⇒ミルトン消毒
〇超音波洗浄機で洗浄⇒ミルトン消毒
48時間後、72時間後ともにグラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌検出せず
(本試験で使用された)ミルトンの含有成分
次亜塩素酸ナトリウム 1%
塩化ナトリウム 16.5%
塩化水素ナトリウム 0.13%
炭酸ナトリウム 0.05%
硫酸ナトリウム 0.15%
塩化カルシウム 0.07%
水 82.1%
参考:大学病院に於ける調乳の中央化について(第1報)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/24/4/24_4_137/_pdf
自動洗浄機での洗浄後に煮沸消毒やミルトン消毒をすると72時間後もグラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌とも検出されなかったが、瓶ブラシで洗浄後に煮沸消毒(100℃で30分)もしくはミルトン消毒(80倍液に1時間漬着)をするとグラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌が検出されることがあるため、防菌の観点では瓶ブラシは洗浄としては十分であると言えませんが、48時間内であれば検出可能性は低い状態とも言えます。
グラム陽性桿菌は炭疽菌、セレウス菌、リステリア菌、ジフテリア菌などが挙げられます。
炭疽、ジフテリア、エリジペロスリックス症、リステリア症、ノカルジア症を引き起こす可能性があります。
グラム陰性桿菌は大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌、セラチア菌、エンテロバクター、アシネトバクターなどが挙げられます。
抵抗力が十分でない状態では敗血症、肺炎、血流中や腹膜腔内などに侵入し発熱、そして多臓器不全を誘発し死亡する可能性があり、院内感染などの事例もあります。
また、大腸菌(グラム陰性桿菌で日和見感染の原因菌)、枯草菌(グラム陽性桿菌で環境常在菌)を付着した哺乳瓶を
電気ポットの温湯(98℃、90℃、60℃)で消毒
電子レンジ(5分間、3分間、1分間)で消毒
食器用洗剤での洗浄(市販されている家庭用洗剤を用いブラッシング)
ブラシのみの洗浄(水道水でブラッシングのみ)
をおこない、10mlの生理食塩水を哺乳瓶に注入し超音波装置で処理し菌液を回収し、37℃で一晩培養した翌日、菌濃度を推定したところ
〇電気ポットの温湯(98℃、90℃)
大腸菌(グラム陰性桿菌)、枯草菌(グラム陽性桿菌)は検出せず
●電気ポットの温湯(60℃)
大腸菌(グラム陰性桿菌)、枯草菌(グラム陽性桿菌)とも検出
〇電子レンジ(5分間、3分間)
大腸菌(グラム陰性桿菌)、枯草菌(グラム陽性桿菌)は検出せず
●電子レンジ(1分間)
大腸菌(グラム陰性桿菌)は検出
●食器用洗剤での洗浄のみ
大腸菌(グラム陰性桿菌)は検出しなかったが、枯草菌(グラム陽性桿菌)は検出
●ブラシでの洗浄のみ
大腸菌(グラム陰性桿菌)、枯草菌(グラム陽性桿菌)とも検出
参考:電子レンジ、温湯、ブラシ、食器用洗剤を使用した哺乳瓶消毒方法の検討
一晩経過した状態の哺乳瓶をブラシで洗剤を使って洗浄した場合は、大腸菌(グラム陰性桿菌)は検出しなかったものの枯草菌は検出したが、ブラシで洗剤を使用しない場合ではグラム陰性桿菌、グラム陽性桿菌とも検出した。
ブラシで洗浄のみでは検出される菌もあるが、90℃以上の煮沸を組み合わせると菌検出の可能性が低くなり、電子レンジで3分以上加熱を組み合わせた場合も、菌検出の可能性が低くなると言えます。
次回、消毒剤についてお送りします。
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