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アレルギー疾患対策基本法について

2016.02.04

投稿者
クミタス

ご存知のように、2014年6月にアレルギー疾患対策基本法(議員立法)が成立し、2015年12月25日(金)に施行されました。具体的な政令や施策は今後決められていくことになりますが、アレルギー疾患対策基本法では理念や指針、方向性を定めています。
制定にあたっては、2012年12月の東京都調布市での、食物アレルギーのある小学生が給食後に死亡する事故が発生したことが後押ししています。

疾患対策基本法には、今までにも2006年に成立したがん対策基本法があります。がん対策基本法下では、医療均てん化、緩和ケアの充実、検診率向上など様々取り組まれてきました。
・拠点病院の設置
・2008年がん診療連携拠点病院の指定要件の見直し(緩和ケア体制の整備含む)
・疼痛緩和薬の処方日数拡大
・2010年診療報酬改定ではがん患者カウンセリング料が新設
・2014年診療報酬改定では医師又は看護師が行う心理的不安を軽減するための介入及び医師又は薬剤師が行う抗悪性腫瘍剤の副作用等の管理指導の評価を新設
・抗がん剤の申請、審査ラグの短縮
など

そして以下課題を挙げる声もあります。
・医療の地域差
(拠点病院から先の受け皿が充実していない、専門者が不在の地域もある)
・診療連携
(各診療科の横のつながりを重視した診療体制の構築
・専門医養成
(臓器横断的な臨床教育含む)
・放射線治療、手術における先進手法の安全性・妥当性評価の体制
・小児がん対策
(希少がんが比較的多いこともあり)
・検診率のさらなる向上
・さらなる喫煙者減
・緩和医療への誤解
(緩和医療を受け入れるということは積極的医療をあきらめることという認識がまだ存在している)
・在宅療養の体制整備
・家族への負担減
・がん患者の就労を含めた社会的な問題
(職場で気を遣われていると感じる、新規就労率向上など)

参考:がん対策推進基本計画 中間評価報告書

アレルギーはがんとはもちろん異なりますが、上記課題はアレルギーにおいても共通する部分もあるのではないでしょうか?
予算にも依るかと思いますが、アレルギー拠点病院の設置、負荷試験における保険適応範囲の回数制限緩和、年齢制限緩和など、アレルギーにおける今後の取り組みにおいても期待したいですね。

アレルギー疾患対策基本法の理念と指針


アレルギー疾患対策の基本理念

・アレルギー疾患が生活環境に係る多様かつ複合的な要因によって発生し、かつ、重症化することに鑑み、アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減に資するため、第2の3に定める基本的施策その他のアレルギー疾患対策に関する施策の総合的な実施により生活環境の改善を図ること。
・アレルギー疾患を有する者が、その居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく適切なアレルギー疾患に係る医療を受けることができるようにすること。
・国民が、アレルギー疾患に関し、適切な情報を入手することができるとともに、アレルギー疾患にかかった場合には、その状態及び置かれている環境に応じ、生活の質の維持向上のための支援を受けることができるよう体制の整備がなされること。
・アレルギー疾患に関する専門的、学際的又は総合的な研究を推進するとともに、アレルギー疾患の重症化の予防、診断、治療等に係る技術の向上その他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。

アレルギー疾患対策基本指針

・アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項
・アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項
・アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項
・アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項
・その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項


アレルギー疾患対策基本法の施行について(施行通知)
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/hoken/files/allergykihonnhou-sekou.pd

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