Author クミタスさん
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2016.02.06
じんましんは食物や薬剤に反応する即時型IgE抗体反応によるじんましん以外に、振動や圧迫などの機械的な刺激によるじんましん、寒冷性刺激、日光、温熱などにより起こる物理性蕁麻疹、運動や入浴などの発汗刺激により起こるコリン性じんましんなどがあります。
ランニング、拍手、マッサージ器、でこぼこな道を走るバスに乗車した際、バイクの振動などで誘発される振動じんましんは、振動という刺激により皮膚深部の局所的浮腫が症状となる点が特徴でもあります。
振動じんましんによる発疹は、刺激を受けて数分内移行から出現し、1時間内~数時間内に消失するとみられており、一部の方に出現する症状で、振動があってもじんましんが出ない方もいます。また症状として、紅潮、頭痛、疲労、視界不良や口の中で金属味を感じるという例を挙げる意見もあります。
複数の世代が振動じんましんを経験した3家族36人の遺伝子を分析した結果では、振動じんましんが起こる場合、振動により肥満細胞(マスト細胞)から炎症性化学物質であるヒスタミンの放出促進、トリプターゼの放出が見られ、この作用をもたらす遺伝子変異がある可能性があると報告しています。
関与するのはADGRE2遺伝子で、ADGRE2遺伝子は肥満細胞(マスト細胞)に存在するADGRE2タンパク質の生産を促します。ADGRE2には、細胞の外の膜の範囲内で位置するβサブユニットと細胞の外層にあるαサブユニットがあり、この2つのサブユニットは相互作用しますが、家族性(遺伝性)の振動じんましんの方においては、安定しておらず振動した際に相互作用が少ない傾向があるとの見方も示しています。
振動じんましんに限らず、ADGRE2αおよびβサブユニットは、免疫系の反応を仲介するプロセスは、すべての人に影響を与えており、肥満細胞は、一般的に、免疫系の活性において中心的な役割を果たしているとも考えられています。
今後研究が進むことでさらに遺伝子とヒスタミン産生との関係について明らかになるかもしれません。
SE Boyden et al. Vibratory urticaria associated with a missense variant in ADGRE2. New England Journal of Medicine DOI: 10.1056/NEJMoa1500611 (2016)
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