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アレルギー疾患において被災に備えておくこととは?

2016.04.19

投稿者
クミタス

東日本大震災後、約1~2か月の時点で,仙台市内の病院及び診療所への受診が可能であった方を対象にした調査があります。

2011年4月22日から5月23日までに宮城県立こども病院総合診療科,森川小児科アレルギー科クリニック,国立病院機構仙台医療センター小児科を定期受診したアレルギー疾患の小児 402人(避難した方118人(29%)、避難していない方251人(62%)、未記入 33人)のうち、
256人(63%)が困ったことが「ある」、144人(35%)が「ない」、2人が「未記入」であり
気管支喘息164例中「ひどくなった」と答えた症例が36例(22%)、困ったことが「ある」と答えたのは42例(26%)、
アトピー性皮膚炎228例中では「ひどくなった」と答えた症例が126例(55%)、困ったことが「ある」は124 例(54%)、
食物アレルギー279例中困ったことが「ある」は117例(42%)、
花粉症・アレルギー性鼻炎102例中困ったことが「ある」が3例(3%)で、

気管支喘息で困ったことが「ある」方の中で
「停電のため電動式吸入器での吸入ができなかった」と答えた症例が、42例中24例(57%)
24例の中では、発電機を使用したと記載した症例が1例、太陽光発電で日中はできたと記載した症例が2例

アトピー性皮膚炎で困ったことが「ある」方の中で
「入浴できず湿疹が悪化した」と答えた症例が、124 例中97例(78%)と最も多く

食物アレルギーで困ったことが「ある」方の中で
「アレルギー対応食品他、食べられるものを得るのが大変だった」と答えた症例が,困ったと答えた症例117例中59例(50%)と最も多く「アレルギー用ミルクの入手が困難だった」と答えた15例も含めると、困ったと答えた症例117例中74例(63%)を占めた。
何とかあるもので対応したが児の体重が減ってしまった、避難所やスーパーなどで食物アレルギーであることを理解してもらえずに辛い思いをした、食物摂取で蕁麻疹やアナフィラキシーを起こしたとの回答があり

花粉症・アレルギー性鼻炎で困ったことが「ある」と回答した方3例では「マスクが不足した」1 例、「掃除が十分できず鼻炎が悪化した」1 例、「避難所で犬や猫を連れてきている人が多く鼻炎がひどかった」とする1例、その他アレルギー疾患以外の内容に関しては、児の精神面で困っているとの回答が45例中14例(31%)と最も多く回答しています。

対策として


被災時にはアレルギー対応食品に限らずバリエーションのある食品調達も困難になることを想定し、除去が必要な方は食品備蓄をし持ち出せる状態にしておくこと、入浴ができないことも想定し、必要なスキンケア剤の携帯、入浴をしないでもできるスキンケア対策を得ておくこと、喘息の方で必要な方は携帯式の吸入器を携帯しておくことは求められることとも言えます。
東日本大震災時では、食品備蓄は1週間分では足りなかった、アレルギーに配慮したミルクは赤ちゃん用品店が再開するまで避難所でも調達できなかったとする声もあり、備蓄量は1週間超を見越しておくことも場合により必要であり、アレルギーに配慮したミルクなど代替選択肢が少なく、調達手段が限られる品目については特に他の理解も求められるところでもあるでしょう。
自治体にて確保できている場合もありますので、不足の場合は確認しましょう。
また年齢が進むにつれ、食物負荷試験により、実際にはどの程度の量が食べられないのかを把握し、また食べられる量を増やしていくことも、緊急時への備えにつながります。
支援とともに自分でもできる対策は進めていきたいですね。

出典・参考:東日本大震災におけるアレルギー児の保護者へのアンケート調査

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