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加齢による機能低下には~栄養と活動量、運動 フレイルティ、サルコペニア

2016.05.20

投稿者
クミタス

加齢とフレイルティ、サルコペニア


フレイルティとは、直訳すると虚弱の意味になりますが、「老化に伴う種々の機能低下(予備能力の低下)を基盤とし、健康障害に陥りやすい状態」を指し、フレイルティの要因の一つとして加齢に伴う筋力の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少であるサルコペニアがあるとの考えがあります。

サルコペニアの分類
・加齢以外の明らかな原因がない
・活動量に関連
(安静状態、不活発な生活習慣)
・疾患が関連
(進行した臓器不全、炎症性疾患、悪性腫瘍、内分泌疾患)
・栄養が関連
(接触不良、吸収不良、食欲不振)
(Cruz-Jentoft AJ, Baeyens JP, Bauer JM, et al. European Working Group on Sarcopenia in Older People. Sarcopenia : European consensus on definition and diagnosis : Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Aging 2010; 39: 412─23.より)

これらは相関をもち、「低栄養であると活動量が低下し筋力低下、身体機能低下をもたらし、消費エネルギー量の減少、食欲低下をもたらし、さらに栄養不良状態を促進させるフレイルティサイクルをもたらすことがある」と考えられています。

どのくらいの方に該当するのか?


筋肉量、握力、通常歩行速度を用いて、低筋肉量、低筋力、低身体機能のサルコペニアに該当する方は(EWGSOPが報告したサルコペニアの分類に基づく)、大都市近郊に在住する65歳以上の高齢者1,074人のうち、男性の13.7%、女性の15.5%に該当し、男性では咀嚼が十分でない方、食品摂取の多様性のない方が有意に多く、女性では独居者、運動習慣のない方、咀嚼が十分でない方に多くみられたとあり、サルコペニアに移行する前の病態と言えるかは検証の必要がありますが、サルコペニアと健常者の中間に該当するのは男性で38.4%、女性の44.7%と報告されています(出典:「地域高齢者におけるサルコペニアに関連する要因の検討 」)。

必要な対応とは?


身体機能低下、筋力低下においては、タンパク質を代表とする栄養摂取の重要性が示唆されており、骨格筋でタンパク質合成を誘導するには、高齢者では成人以上にアミノ酸の血中濃度を上げる必要があり、そのために十分なタンパク質の摂取が必要になるとも考えられています。
骨格筋で有効なタンパク合成が 1 日を通して維持できる目安としては、毎食良質なたんぱく質を25~30g程摂取することとの試算になりますが、タンパク質の摂取と筋トレ(レジスタンス運動)とを一緒に組み合わせることで、身体機能、筋力向上になる可能性が示唆されています。
タンパク質を含む食品であれば何でも有効なのか、タンパク質の中でも、筋肉中に多く存在しているアミノ酸のロイシン、またアミノ酸合成を促進する栄養素や、ビタミンD、ビタミン C、ビタミン E、カロテン類、ポリフェノール類(フラボノイド類)、亜鉛、セレン、マンガンなどの必要重要性、必要程度については、今後より明らかになるところかと思いますが、機能低下に陥らないためには、年齢が進んでもタンパク質をはじめとする偏りのない十分な栄養と、様々な筋力維持のための運動が必要と言えます。まずはべッドの上でできる筋トレなどからでもできると良いでしょう。
https://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000500/hpg000000440.htm
腎機能が低下している方や特定の疾患のある方においてはタンパク質摂取など栄養摂取や運動程度に関して、医療機関と相談されるのが望ましいです。

出典・参考:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
「サルコペニアと栄養管理」 ほか

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