ゼラチンは豚由来、牛由来、魚由来のものが流通し、食品に使用される以外に、ワクチンやカプセルなどの薬剤、化粧品などに添加されており、摂取を機にアレルギー症状が出現する場合があります。
ケース1:食品のクリーム内に使用されたゼラチンに症状出現
32歳、女性。抹茶ぜんざいゼリーを摂取し、入浴した後に鼻閉、呼吸困難感、膨疹が出現。アナフィラキシーと診断され、加療した約2週間後に、クリームがサンドされている栄養調整食品摂取後にも鼻閉、呼吸困難感が出現したため、原因精査のため生クリームの成分を取り寄せ、プリックテストを施行したところ、牛由来ゼラチンに陽性反応を認めた.豚由来ゼラチン、他のゼラチン含有製品に対しプリックテストをおこなったところ、すべてで陽性反応を認めた。
ケース2:風邪薬のジェルカプセルに含まれたゼラチンに症状出現
20歳、女性。風邪のためジェルカプセルの市販感冒薬を内服開始後5日目に、ヨーグルト摂取後、同薬を内服し、その5分後から頸部に熱感や掻痒、全身の潮紅、腹痛、呼吸苦が出現し意識を消失した。血液検査ではゼラチンがclass 4、牛乳は陰性、プリックテストでは牛乳は陰性で感冒薬が陽性となった。感冒薬の全成分のプリックテストではゼラチンのみ陽性であり、ゼラチンによるアナフィラキシーと診断された。
背景
過去には、耐熱性を高めるためにゼラチン濃度を0.2%から 2.0%に上げた麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチンが要因と考えられるアナフィラキシー症例があったことで、1994年に対象ワクチンが回収となったこともあります。
また、1988年までは2歳児を対象にゼラチン含有のワクチン接種がおこなわれていましたが、1989年から3カ月~24カ月齢児を対象へと前倒しになっていた時期があります。早い月齢時点での接種へと変わり、ワクチン中のゼラチンによって感作された一部の幼児が、その後に接種した、麻疹、おたふく風邪のワクチン中のゼラチンによってアレルギー反応が誘引された可能性もあり、これらの背景が1994年~2000年頃にゼラチンにアレルギー症状を示す症例報告が増えたことの要因の1つとも考えられています。
1996年以降はワクチンのゼラチンフリー化が進んでいますが、以下ワクチンにはゼラチンが含まれています。
ゼラチンを含むワクチン
・経口生ポリオワクチン(セービン)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型混合(阪大微生物病研究会)
ゼラチン含有量 0.00375mg以下/回 豚由来ゼラチン
・乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン(化血研・アステラス)
ゼラチン含有量 0.2mg /回
・黄熱ワクチン(サノフィ)
ゼラチン含有量 7.5mg /回 豚由来ゼラチン
・乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(北里第一三共ワクチン)
「1970 年代に作製したマスターシードに、動物種及び原産国が明らかでない生物由来原料(血清、トリプシン、ラクトアルブミン水解物、乳糖水和物、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、ゼラチン)を一部使用して」おり、ゼラチン成分が微量に残存しています。
・乾燥細胞培養痘そうワクチン「LC16“化血研”」
原液に由来するゼラチンを含有(0.15w/v%以下)豚由来ゼラチン
ゼラチンアレルギーの特徴
ワクチンに即時反応があった26人の子供のうち、2人はゼラチンに反応はなく、20人は牛由来ゼラチン、豚由来ゼラチンの両方にアレルギー反応があり、4人は牛由来ゼラチンに高い反応を示した、との報告があるなど、豚由来、牛由来ゼラチンの両方にアレルギー反応を示すことも少なくないところでもります。
また、ジェルカプセルなどの薬剤に添加されたゼラチンや、ゼラチンが含まれる薬剤を服用した際に、アレルギー症状が出現することもあります。
市販の小児用の薬剤においてもゼラチン含有薬剤はありますが、用法、用量順守、適応年齢や内容物も確認の上、心配な方は医師、薬剤師に相談のうえ使用し、症状があった場合は服用した薬剤名、オブラート等を使用した場合はそのことも受診時に伝えられると良いでしょう。
参考:ジェルカプセル感冒薬内服で発症した,ゼラチンによるアナフィラキシーショックの1例
MS7-10 生クリームに含まれたゼラチンによりアナフィラキシーとプリックテストにて遅延型反応が誘発された1例
Sakaguchi M, Nakayama T, Inouye S. Food allergy to gelatin in children with systemic immediate-type reactions, including anaphylaxis, to vaccines. J Allergy Clin Immunol 1996;98(6 Pt 1):1058-61.
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