1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

接触性皮膚炎について①

2016.07.05

投稿者
クミタス


原因物質と接触している部位に湿疹が現れ、手湿疹、慢性蕁麻疹が出現する接触性皮膚炎においては、接触しなくなることで軽快する場合がありますが、接触してから時間を経て症状出現することがあり、原因物質がわかるまでに時間を要することがあります。

接触性皮膚炎をおこす可能性のある物質とは?


検査方法によっても陽性率が異なり、陽性になりやすいものもありますが、日本では硫酸ニッケル、ウルシオール、塩化コバルト、重クロム酸ナトリウム(皮革製品のなめしにも使用されます)、パラフェニレンジアミン(ヘアカラー含有成分)、塩化第二水銀、香料ミックス、硫酸フラジオマイシン(ネオマイシン)、ペルーバルサム(香料、外用剤、化粧品などに使用される樹脂成分)、チウラムミックス(ゴム加硫促進剤)、チメロサール(一部のワクチンに保存剤として使用など)などは、パッチテストにおいて陽性率が比較的高い物質との報告があります。

検査時でも硫酸フラジオマイシンにおいては、パッチを貼りつけてから72時間を超えて1週間後に陽性反応が見られることがあります。
パッチテストをおこなった方の中での陽性例においては、40歳代から60歳代女性ではヘアダイ(ヘアカラー)に接触していた方が多くみられ、ヘアダイ接触開始後,最長で30年経て皮膚炎を発生するケースの報告もあります。
毛髪染めにおいては、ヘアマニキュアに変えてから症状出現がしなくなったケースもあり、毛髪剤を変更することで毛髪染めが可能である場合もあります。
尚、美白剤としても使用されるarbutin、hydroquinoneは、ヘアダイに含まれるパラフェニレンジアミンと構造が似ており交差反応を示す可能性があることが示唆されており、ヘアダイにアレルギー反応のある方で、美白剤を使用してから皮膚症状等がある方は、受診し相談されるのが良いでしょう。

ほかにも原因物質と考えるものは様々にありますが、日本人で陽性率が高いと考えられる25種類の原因物質が選定された「ジャパニーズスタンダードアレルゲン」があります(日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会)。

金属:ニッケル(50円、100円、500円硬貨にも使用)、クロム(皮革製品のなめしにも使用されます)、金(金チオ硫酸ナトリウム)、コバルト、塩化第二水銀
樹脂:ロジン(インク、ニス、接着剤、ワックスなどに使用)、ペルーバルサム(香料、外用剤、化粧品などに使用)、ブチルフェノールホルムアルデヒド、エポキシ
ゴム硬化剤:カルバミックス、メルカプベンゾチアゾール、メルカプトミックス、チウラムミックス(加硫促進剤)
ゴム老化防止剤:黒色ゴムミックス
防腐剤:パラベンミックス、イソチアゾリノンミックス(一部の冷感タオルなどに使用されています)、ホルムアルデヒド
油脂:ラノリンアルコール
抗生物質:硫酸フラジオマイシン(ネオマイシン)
局所麻酔剤:カインミックス
香料:香料ミックス
染料:パラフェニレンジアミン(ヘアカラーの含有成分)
水銀化合物:チメロサール(一部のワクチンに保存剤として使用など)
植物:プリミン(サクラソウなどに含まれます)、ウルシオール(ウルシに含まれます)、セスキテルペンラクトンミックス(菊などに含まれます)

上記ジャパニーズスタンダードアレルゲンから、塩化第二水銀、プリミン、ウルシオール、セスキテルペンラクトンミックスを除く21種類にメルカプトベンゾチアゾールを加えた22種類(にテスト用2種が加わります)について、1度に検査可能な簡便なパッチテストパネル(S)が2015年に発売されています。保険適応であり、皮膚に貼り付け48時間後、72時間後の状態を確認するものになります。
以前からのパッチ検査との比較など、検査に関するレポートなど情報をアップデートしていきたいと思います。


出典・参考:第 112 回日本皮膚科学会総会② 教育講演 5-2 アレルギー性接触皮膚炎の原因製品とジャパニーズスタンダードアレルゲン陽性率
パラフェニレンジアミン感作例における関連物質およびその他のアレルゲンのパッチテスト結果
接触皮膚炎症候群33例のまとめ
化粧品、医薬部外品成分中の皮膚感作性物質と接触皮膚炎

    {genreName}

      {topics}