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2016.07.09
ハチによる人への刺傷によりアナフィラキシーをおこすケースはご存知の方も多いかと思いますが、アリ刺傷でアナフィラキシーをおこす場合があります。
日本でも1987年の報告以降、オオハリアリ刺傷によるアレルギー反応、アナフィラキシーが考えられるケースは、報告されているものでハチほど多くはありませんが11例ほど挙がっています。
オオハリアリは毒を持つアリで、蜂同様メスの尾部分に毒針があり、羽アリは6~9月に飛ぶようになります。
オオハリアリは赤褐色の、体長4~5mmと大きいアリというわけではなく、北海道を除く地域でよくみられ、巣をつくることが多い朽木や、土の上や落ち葉の中、石の下などに生息し、環境によっては屋内に入り込むことがあります。
刺されると、毒の刺激により痛みや痒みを感じ、刺された箇所が痺れる感覚、赤く腫れるといった症状が出現することがあります。
また、全身の掻痒感、蕁麻疹出現、呼吸困難、腹痛、動機、めまい、血圧低下、50mほど歩行後に意識消失といったアナフィラキシーに至ることがあり、11例のうち7例でアナフィラキシーに至っているとみられています。
報告例が少ない中での傾向としては、オオハリアリと思われるアリ咬傷が2度目以上の方において、アナフィラキシーを起こす可能性が高くなる示唆があります。
また、アナフィラキシーを起こした方の中には、過去にハチに刺された方、それまでにハチ毒でアナフィラキシーをおこしていたことがあると思われる方のケースなど、まだオオハリアリのアレルゲンについてなど判明していない点もありますが、ハチ毒との交差反応性がある可能性を挙げる意見もあります。
比較的軽症のアレルギー(様)反応の場合は、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ホルモン薬による対応、アナフィラキシーを起こしている場合は、アドレナリンの投与がされることになります。
すべての方にアナフィラキシー発症が起こるとは限りませんが、弱毒であっても繰り返し刺傷することでアナフィラキシーに至る可能性があり、アナフィラキシー発症までオオハリアリ咬傷から15分以内と短い傾向にある可能性があります。それまでに屋外などで何かに刺されたためか、痛みや赤く腫れている箇所があり、痛みを感じ刺されたと思われる同じ場所に行く場合や、だんだん症状が強く出てくるようになってきた場合は、刺されないような対応や、受診し相談の上、念のためのエピペン保持も望ましいかもしれません。
オオハリアリはシロアリをよく食べ、シロアリ駆除性もありますが、シロアリが多く生育している家屋には、オオハリアリが入り込む可能性もありますので、家の中にいても、何かに刺された感覚がある場合は、住環境のチェックもできると尚良いでしょう。
出展・参考:オオハリアリによるアナフィラキシー
アリ咬傷でアナフィラキシーショックになった1症例
虫によるアナフィラキシーの現状と対応
オオハリアリ刺症の1例
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