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蛾によるアレルギー

2016.09.26

投稿者
クミタス

虫によるアレルギーとしては、ダニ、ゴキブリ、ユスリカなどが挙げられますが、ダニ、スギに次いで、またネコ皮屑よりも高いIgE陽性率であるのが蛾のアレルゲンです。
特に成人喘息患者さんにおいては、カイゴガの感作率は50~60%ほどと高く、カイコガのアレルゲン吸入試験で喘息発作が誘発されたとの報告もあり、かねてより養蚕業に関わる方に見られる養蚕関連喘息が知られています。

蛾のアレルゲン

蛾においては主に幼虫の糞、成虫の鱗粉がアレルゲンとなり、これらを吸入することで、喘息症状、鼻炎症状が誘発されることになります。室内で見られることの多いガとしては、乾燥した食物を餌にすることの多いメイガ、動物性繊維を餌にすることの多いイガが挙げられます。

発生・存在場所
・メイガ(ノシメマダライガ(体長 成虫8mm~15mmほど、幼虫10mm超)など)
米などの穀類、ドライフルーツ、菓子、チョコレート、カップ麺、香辛料など乾燥した食品内や食品保管場所、ペットフード内、蛍光灯の笠やカバー、網戸やカーテン
 

・イガ(体長 成虫約5mmほど、幼虫7mmほど)
ウール、毛皮、羽毛などの動物性繊維の衣類、布団、カーペット、またクローゼット、蛍光灯の笠やカバー、網戸やカーテン

1年を通すと9月~11月において蛾の抗原量が高くなります。蛾は、灯りを求めて外から室内に入り、室内に留まると室内の蛾抗原量が増えていきます。

蛾のはね(翅)は蝶のはねと交差反応性があるとの示唆もあります。

​対策


室内の蛾抗原量を減らす上では、上記発生場所での存在を確認し、発生している場合は清掃、除去をします。

ノシメマダライガなどは米を食べ、米びつの中で生育することがありますが、
・米と米が糸状のものでくっついている
・米に比べて小さい茶褐色の粒(幼虫の時期により赤色が混じる)が見える(糞)
場合は、ノシメマダライガが糸を吐きだし、糞をしている可能性があります。発生源を取り除く意味でも、粉末飛散し無いように処理するのが望ましいでしょう。
未開封の袋菓子を自ら破って中に入り菓子を食べることもあると言われていますので、もし上記の状態であれば、同様に対応します。

イガはカツオブシムシ類と並び代表的な衣類害虫でもあり、動物性繊維を食べ、幼虫時はその繊維とイガの吐きだす糸を混ぜて、食べた部分の繊維をつなげるように筒状の巣をつくり生活します。巣はその繊維を使用しているため、毛玉ができたように見えることから、衣類にイガの巣が作られていることに気が付かないまま、着衣している場合もあります。25~30℃で湿度が下がってくる頃が活発な時期で、暗所で見られ、5~6世代に渡り生活している場合もあります。
皮脂が付いた状態の衣類も餌になりますので、汚れを残した状態で衣類をたんすにしまわないようにし、防虫対策をおこなうようにします。また、鳥の巣に巣をつくることもありますので、鳥の巣が家の近くにある場合は、洗濯物を取り込む際などには軽くブラッシングをすることでも落とし得ます。


出展・参考:室内環境中のダニ・昆虫とアレルギー疾患 ほか

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