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2017.01.05
喘鳴既往児の保護者における喘鳴症状の認識度に関して
独立行政法人国立病院機構福山医療センター小児科に通院中の喘鳴既往児290名 (男児185名, 女児105名、中央値6歳 (0~16歳、平均6.5歳) ) の保護者を対象に、Japanese Pediatric Asthma Control Program (JPAC) テストによるコントロールテスト施行時に、「喘鳴」、「喘息」の認識に関して保護者にアンケート調査を実施したところ、
「喘鳴」を児が経験していても37.2%の保護者において経験していないと回答、「ゼイゼイ・ヒューヒュー」を児が経験していても24.8%の保護者において経験していないと回答し、「喘鳴」という言葉が全く分からないと答えた保護者は58.3%、喘息と診断されている児の保護者で「お子さんは喘息であると思いますか」との問いに51.7%の方が「はい」と回答しなかった、と報告しています。
喘息においては、吸入指導により喘息コントロール不良と評価される患者さんの割合も低減すると見られていますが、吸入薬の治療効果改善、肺機能改善にも寄与する可能性もあるとの示唆もあります。
また、成人患者さん自身の疾患としての喘息への理解状況として
2010年3~4月に過去5年間に一度でも喘息治療にて受診経験がある20~69歳の喘息患者4,313人において、約4割の患者が喘息症状が出た時だけ受診、継続受診している患者は3割、吸入ステロイド(ICS)の使用率は全体の43.5%であり、現在受療中の患者におけるICSの使用率は63.8%、ICS使用患者は「継続の必要性・重要性」「吸入ステロイドの安全性」の認知率で非使用患者よりも20%以上高く、喘息は気道炎症を原因とした慢性疾患であり,継続的な長期管理が必要であることについて認知していた患者は約40%、とのインターネット調査での結果も報告されています(喘息患者における治療と疾患認識に関するインターネット調査 昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科部門 足立満)。
喘息死委員会レポート2014によると、日本小児アレルギー学会・喘息死委員会宛てに1989年から2013年10月までに気管支喘息に罹患していて死亡し登録された症例は246例で、対象外を除いた215例(男134例、女81例)において、年齢ではここ数年では0~4歳児が最も多く、軽症18%、中等症18%、重症27%、死亡前1年間の重症度は、不明・未記入の割合が増加傾向にあり46%、喘息死に関与した要因では,予期できない急激な悪化、適切な受診時期の遅れが多く、適切な受診時期の遅れを来した要因として患者・家族による判断の誤りが多かった、とあり、決して重症例での死亡が過半以上等多くを占めているわけではなく、死亡前1年間において継続受診されていなかった可能性も伺えます。
症状程度や理解程度には個人差があり、治療方法への不安や懸念のある方もいらっしゃるかもしれませんが、聞き慣れない言葉等や治療方法についても相談の上、さらに多くの方が症状や状態を正しく理解、受容し対処していくことで、良好なコントロールに繋げていきたいところです。
出典:当科における小児喘鳴性疾患患者の保護者における喘鳴・喘息に対する認識度実態調査 2016 独立行政法人国立病院機構福山医療センター小児科
外来喘息教室における吸入指導後の症状・アドヒアランス及び患者満足度の評価
喘息死委員会レポート2014
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