1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて

2017.01.07

投稿者
クミタス


食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、本来は原因食物の即時型アレルギーの既往のある場合を含まず、原因となる食物を摂取・吸収するだけではアナフィラキシー出現に至らないが、原因となる食物摂取・吸収と運動(歩行含む)、疲労、感冒、入浴、アルコール摂取、生理前、高温・寒冷、湿度、花粉飛散といった要因が重なることでアナフィラキシーに至るケースを指しています。
またアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬も誘発要因の1つとなり、食物摂取と運動負荷での誘発試験で陰性であった場合に、アスピリンを前投薬し誘発試験がおこなわれています。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、運動などによる刺激によりアレルゲンの吸収を亢進し症状誘発されると考えられており、ほかに肥満細胞(マスト細胞)から化学伝達物質(ヒスタミン等)が放出されることが影響している可能性についての意見もあります。
アスピリンは抗原吸収を促進する可能性、皮膚プリックテストの原因抗原への反応を増強させる可能性、ヒスタミン放出を増加させる可能性が考えられています。

原因となる小麦タンパク質は、成人においては主としてω-5グリアジン、高分子量グルテニンが、加水分解小麦含有せっけん使用による経皮感作においては主にγ-グリアジン、ほかにLTP(脂質輸送タンパク質)などが報告されています。
小児においては特異的IgE検査、特にω-5グリアジン特異的IgE検査において、また皮膚プリックテストにて陰性を示す方が、成人より多いとも見られています。

長期的な経過状況はまだわからない面がありますが、あくまで報告例ではありますが、成人も含めた小麦依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された37例(男性28例、女性9例。9歳~71歳。平均41歳)のうち、経過を追えている29例では、13例は運動しない場合のみ小麦摂取、9例は制限なく小麦摂取、7例は小麦摂取除去継続との報告もあります。
過剰にならない適切な制限による経過状況等については、今後またご紹介していきたいと思います。


出典・参考:小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの小児 6 症例
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー37例の臨床経過と小麦関連sIgEの経時的変化
加水分解コムギ含有石鹸の使用後に発症した小麦依存性運動誘発アナフィラキシーとその経過について
小児の小麦依存性運動誘発アナフィラキシー5例における小麦高分子グルテニン特異的IgE測定の検討

    {genreName}

      {topics}