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タンパク質分解酵素による抗原量の変化

2017.01.18

投稿者
クミタス


タンパク質を分解する方法の1つに、酵素による分解があります。タンパク質分解酵素を多く含む果物を豚、牛、魚由来のゼラチンで固める場合、うまく固まりにくいのは、タンパク質分解酵素のはたらきによるものでもありますが、アレルゲンとなるタンパク質においてはどの程度分解されるのでしょうか?

タンパク質を分解する酵素を使用して、タンパク質の分解を促し、どの程度、アレルゲンタンパク質が残存するか、を試験した報告があります。

市販のゆでた小麦が主原料のスパゲッティ10gに濃度0、10、30、50%のパイナップル果汁液20mlを各々加え、スパゲッティを果汁液に3分間浸漬し、速やかに十分水洗し、ELISA法(モリナガFASPEK小麦測定キット)にて測定したところ、小麦のタンパク質の1種であるグリアジン量が1㎎/gから10%果汁液では約0.4mg/g、30%果汁液では0.2mg超、50%果汁液では約0.15㎎/gと低減した
また、茹でたスパゲッティ10gに50%の果汁液20mlを加え、10分、60分間放置させた後、同様に水洗し、経時的変化も調べたところ、さらに低減した。

パイナップル、キウイフルーツ、イチジク果汁を各1mlと牛乳1mlを混和し、50分間室温で放置した後、カゼインの抗原量を1と同様にELISA法で測定したところ、パイン(分解酵素名:ブロメリン)、キウイ(アクチニジン)とイチジク(フィシン)の果汁と混和するとカゼインの抗原量は激減し、イチジクでは減少率97%にまで達した。


分解するタンパク質によりますが、タンパク質分解酵素による分解により、タンパク質をある程度まで低減し得る可能性が伺えます。
ただしタンパク質分解酵素自体も人によってはアレルゲンとなるため、タンパク質分解酵素の選択も重要になり、一定のレベルでどの程度まで分解できるか、タンパク質分解酵素によるタンパク質分解により、少量であれば食べても当該タンパク質にアレルギー症状出現の無い方にとって有用となり得るのか、また改めて取り上げたいと思います。


出典・参考:パイナップルのグリアジン(小麦アレルギー抗原)に対する抗原量低減作用および経口免疫療法への応用
加熱および果物の酵素処理による牛乳中のカゼインとβラクトグロブリンの抗原量の変化
プロテアーゼアレルゲンによるIgE産生と気道炎症の誘導

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