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肥満と喘息(2017.2.22更新)

2017.02.09

投稿者
クミタス


現在までに、成人肥満者において喘息有病率が高い、重症で治療強度の高い喘息患者さんほどBMIが有意に高いといった報告があり、BMI増加は喘息重症度とコントロールに影響を与える可能性の示唆、また男女での違い、成人発症の非アトピー性喘息で肥満の女性に多いタイプが存在する可能性などの報告があります。
脂肪細胞が肥大化するとレプチン放出量が増えアディポネクチンが減少しますが、レプチンの血中濃度が増加すると免疫刺激作用から炎症が増強され、アディポネクチンが減少すると抗炎症作用が低減するとも見られており、また肥満により気道が狭くなり肺容量が狭くなる可能性もあります。

小児における肥満と喘息との関連についてはどうなのでしょうか?

小児における肥満と喘息


日本では

5年間で肥満改善で入院した31人(平均年齢10歳、男児15人、女児16人、喘息あり14人)に入院時に採血をおこなったところ、喘息あり群ではレプチンが有意に高く(p=0.059)、男児で喘息あり群では喘息なし群と比較するとBMI(Body Mass Index)とアディポネクチンとの間に違いがあり(喘息あり群p=0.069、喘息なし群p=0.381)、女児では喘息なし群でBMIとレプチンの関係(p=0.0007)を認め、男児の肥満ではアディポネクチンが喘息と関係がある可能性を示唆(出典:肥満児における喘息とadiponectinとleptinについての検討 国立病院機構福岡病院小児科)

受診し2007~2014年に登録された6~17歳の気管支喘息患児836名(男児578名、女児258名)のうち肥満度20%以上を肥満群、-20%未満をやせ群とした際、肥満群は男児のうち19%、女児のうち13%、やせ群は男児のうち5%、女児のうち2%となり、日本の肥満児割合である約9%と比較すると、受診した気管支喘息児においての肥満児割合は高かった、
喘息重症度には体型による偏りはなく、肥満群、標準群、やせ群で呼気NOに関して各群での有意差はなかったが、努力肺活量(FVC)、1秒量(FEV1)、ピークフロー値(PEF)においてやせ群が低下し、V25において肥満群が低下しており、体型の違いにより気道炎症に有意差を認めなかったが、肺機能では有意差が認められ、体型の違いにより治療効果に影響を与えるか検討を進める必要がある、と示唆(出典:喘息児の体型と呼吸機能の検討:肥満とやせの影響 国立病院機構三重病院)

する報告等があります。

喘息が先か肥満が先か


子供健康調査で、肥満と登録していなかった南カリフォルニアの5~8歳の2,171人、うち喘息患児13.5%を対象に10年追跡調査をしたところ、10年間で約16%の児が肥満になり、発作時に吸入薬を使用していた児は肥満リスクが低い(Effects of Childhood Asthma on the Development of Obesity among School-aged Children. 2017)との報告もあり、喘息が肥満を促す可能性を示唆しています。

喘息の子供がすべて肥満児である、肥満児になるということではなく、肥満と喘息は相互に影響している可能性も考えられますが、小児期発症の喘息と肥満との関連等についてまた他報告もご紹介していきたいと思います。

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