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アクリルアミドの生成状況と対策

2017.05.02

投稿者
クミタス

アクリルアミドは、食物を揚げる、焼く、焙煎する、炒めるなどの120℃以上で加熱することにより生成され、食物中に含まれるアミノ酸の1つであるアスパラギンとブドウ糖、果糖などの還元糖による化学反応が原因とも考えられていますが、他の食品成分が原因となっている可能性についても研究がなされています。

アクリルアミドの現時点での評価としては、食品安全委員会では「アクリルアミドは遺伝毒性発がん物質であると判断し、発がんのリスクについては、ヒトにおける健康影響は明確でないが、動物実験の結果及び日本人の推定摂取量に基づき、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないと判断」とされています。

加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報
https://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html

ポテトチップス以外の含有状況


アクリルアミドといえば多く含有される食品にポテトチップスがよく挙げられますが、そのほかにも比較的生成量が多い食品はあります。

ポテトチップス(467~3,544μg/㎏)
かりんとう(84~1,895μg/㎏)
フレンチフライ(512~784μg/㎏)
とうもろこしスナック(117~535μg/㎏)
フライドオニオン(428μg/㎏)
炒め玉ねぎ(122μg/㎏)
ほうじ茶(519~567μg/㎏)
ビスケット、クッキー(124~302μg/㎏)
麦茶(256~270μg/㎏)
コーヒー(151~231μg/㎏)
いりごま(116~197μg/㎏)

()内は検体からのアクリルアミド検出値の幅の例  出展:食品中のアクリルアミド分析結果 2002年 

イギリスで販売されているスナック菓子商品を対象にした調査では、じゃがいものポテトチップスよりもさつまいもをスライスして揚げたスナックの方がアクリルアミドの検出値が高かったとする報告もあります。
https://changingmarkets.org/wp-content/uploads/2017/03/ACRYLAMIDE-UK-potato-snacks-press-release-results-FINAL.pdf

生成量を減らす対策として


食物中の水分量が少ない状態で120℃以上の高温調理をおこなう場合にアクリルアミドの生成量は多くなりやすくなると見られており、炒め玉ねぎとフライドオニオンではフライドオニオンの方が、フレンチフライとポテトチップスではポテトチップスの方が生成量が多くなりますが、検出量が減っていた条件からの考察も含め、アクリルアミドの検出量が減少する可能性のある対策としては以下等が考えられています。

・揚げる、焼く、焙煎する、炒める調理に使うじゃがいもは常温で保存する(じゃがいもを長期間冷蔵することで還元糖が増えるため、冷蔵しないで6℃以上の環境で保存し使用する)

・野菜をカットした際に水でさらしたり表面を水洗いする(表面に存在するアスパラギン、還元糖の量を減らす)

・野菜は下茹でしてからオーブン調理等をおこなう方がアクリルアミドの検出量が減少する(水分量が少ない状態で直接高温に長くさらされ焼き色が付くような調理時間を削減する)

・タンパク質が多く含まれる食品と一緒に加熱すると、じゃがいものみ等を加熱調理する場合に比べ、アクリルアミドの検出量が減少する(加熱により生成されたアクリルアミドがタンパク質中のアミノ酸側鎖の-SH基や-NH2基と反応することが要因である可能性)

・アスパラギン、還元糖の含有量の少ない食物を選択する(選択肢として小麦粉よりアスパラギンの濃度が低い米粉、ブドウ糖や果糖といった還元糖ではなくショ糖割合の高いグラニュー糖など)

家庭での調理時にも意識できると尚良いかもしれません。

出展・参考:農林水産省 食品中のアクリルアミドに関する情報

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