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免疫記憶とアレルギー

2017.06.04

投稿者
クミタス

ヒトの免疫系には、生体が元々備えている、外からの異物を認識し排除しようとする「自然免疫系」と呼ばれるものと、一度侵入した異物が2回目以降に侵入した際に、より迅速、強力に排除しようとする「獲得免疫系」があります。
獲得免疫系には免疫記憶のメカニズムが備わっていると見られていますが、自然免疫系にも記憶が存在し特定の遺伝子のエピゲノム変化が長期間維持されることが分かってきています。

アレルギー疾患のある方においては、食物や花粉などの抗原特異的記憶T細胞が存在し、特定の物質を抗原とみなし反応を引き起こす免疫記憶のメカニズムが備わっていると見られていますが、この記憶T細胞が応答しないようにするなど、特定の物資への免疫記憶が有効でなくなることで、それまで抗原とみなしていた物質への感受性が低減しアレルギー疾患の症状程度が軽減したり、出現しなくなるような可能性が考えられています。

最近発表されたマウスでの研究では、卵白タンパク質であるオボアルブミンにアレルギー反応を示したマウスの血液幹細胞を採取して調節する遺伝子を挿入しマウスに移植をしたところ、気道炎症の軽減がみられたと報告しています(出典・参考:Allergen-encoding bone marrow transfer inactivates allergic T cell responses, alleviating airway inflammation)。
ヒトにおいて、アレルゲンの食物をしばらく摂取していなくても特異的IgE値が陽性である状態が続くことへの影響については以下にも掲載していますが、
特異的IgE抗体陽性が続く理由として
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3048
今後も国内外での研究動向をご紹介していきたいと思います。

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