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中毒性表皮壊死症のケースから

2025.04.08

投稿者
クミタス

中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症。Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)とは医薬品や感染症などにより免疫学的な変化が生じ、皮膚や粘膜、眼:結膜などに病変が起こるとも考えられています。薬剤使用後に「38℃以上の熱」、「目の充血」、「くちびるのただれ」、「のどの痛み」、「皮膚の広範囲が赤くなる」といった症状が続いたり、急激に悪化することがあります。
 
10歳男児。特記既往無し。初診7日前に眼のそう痒と左眼充血があり点眼薬を使用した。その翌日全身に小型の紅斑が出現した. 徐々に紅斑は拡大し水疱形成を伴い、咳嗽も出現した。初診 2日前に咽頭拭い液 A群溶連菌迅速診断陽性のためアモキシシリン内服を開始。初診日発熱、咽喉頭の粘膜疹と全身の皮疹からSteavens-Johnson症候群の診断で当院紹介となった。当科初診時眼球結膜の著明な充血と口腔粘膜の出血性びらん、顔面を含む略全身に flat atypical target が多発融合していた。第2病日に紅斑はほぼ全て弛緩性水疱にかわり、表皮剥離体表面積が30%以上となった。皮膚生検で表皮の全層性壊死を確認し、中毒性表皮壊死症と診断された。重症度分類では偽膜形成、口唇口腔粘膜の血性びらん、 38度以上の発熱、病理組織像が一致し、 6点以上のため重症の判定となった。 SCORTEN は1点で、ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注療法が行われ、4週間ほどで皮疹は上皮化した。継続的病勢評価スコアは入院時の26点から0点に改善した(出典・参照:小児の中毒性表皮壊死症の1例)。
小児ではマイコプラズマなどの感染症により、スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症を発症する頻度が比較的高い傾向があるものの、薬剤性の場合、薬剤摂取するあらゆる年齢で生じうると示唆されています。今後も治療法など含め、追記していきたいと思います。

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