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寒冷蕁麻疹のケースから

2024.07.04

投稿者
クミタス

アレルギー反応に伴い急性冠症候群が発生し、冠攣縮性狭心症や急性心筋梗塞などを発症することがあり、Kounis症候群(コーニス症候群)と称されていますが、
アナフィラキシーと急性冠症候群~Kounis症候群
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2848 
ムカデ咬症後のKounis症候群
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3965 
アレルギー反応に伴い脳卒中をきたす症例も見られています。今回は寒冷蕁麻疹からアナフィラキシーショックに至り,頭蓋内主幹動脈の急性閉塞を続発したケースを掲載します。

60歳女性(既往歴:脂質異常症、アレルギー歴:特記すべきことはなし、家族歴:特記すべきことはなし、生活歴:喫煙 20本/日×30年、飲酒歴なし)にて、寒冷蕁麻疹からアナフィラキシーショックに至り、頭蓋内主幹動脈の急性閉塞を続発したケースでは、以前から雨に濡れる、冷たいペットボトルをもつという場面で、冷水と接触した部位に発赤を認めることがあり、8月に国内を旅行中、川に約15分間浸かったところ、全身の蕁麻疹や倦怠感、腹痛を認めた後、失神に至り、救急ヘリコプターにて前医へ救急搬送されています。アナフィラキシーショックと診断され、搬送中にアドレナリン0.3mg の筋肉内注射、細胞外液補充液の点滴とd-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ファモチジンの静脈投与がおこなわれ、病院到着時には血圧104/57mmHg まで回復、全身の蕁麻疹は消褪傾向となり、精査目的に撮像した頭部CTでは異常所見は認められませんでしたが、病院搬送から約1時間後に意識レベル低下、蕁麻疹は増悪、血圧は測定不能に。二相性アナフィラキシーが考えられ、アドレナリン 0.3 mg の筋肉注射が再度行われましたが、意識障害は継続し、左片麻痺、構音障害が出現。National Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS)は7点で、頭部MRI 拡散強調画像では右側頭葉に高輝度域を、頭部 MRA では右中大脳動脈の閉塞が認められたため、血栓溶解療法がおこなわれ、血管撮影では、閉塞部位はカテーテルの操作により再開通しており、末梢部分に血栓が認められましたが、血栓が消褪傾向であったため血栓回収は行われず、NIHSSは0まで改善を認め、その後の入院中経過は良好で、後遺症もなく第8病日に退院となっています(出典・参照:夏秋聡 織田好子 竹内慎哉 肥後里実 久保亮治 神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学教室 高知大学医学部災害・救急医療学講座 甲南医療センター糖尿病内分泌総合内科 アナフィラキシーから脳塞栓に至った寒冷蕁麻疹)。

寒冷蕁麻疹に関しては以下にも掲載しております。併せてご覧ください。
寒冷蕁麻疹について②
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4415
寒冷蕁麻疹について①
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3764
二相性反応について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2218

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