Author クミタスさん
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2017.09.03
牛乳の殺菌方法には以下が挙げられ、ロングライフ牛乳は以下特徴があります。
・低温殺菌法
63~65℃で30分殺菌
風味や栄養価は維持しやすいものの加熱温度が低いため、食品中のすべての微生物を死滅させることは難しく保存性は劣る面もあります。
・連続式保存殺菌
65~68℃で30分殺菌。
・高温保持殺菌法
75℃で15分以上殺菌。
・高温短時間殺菌法
60℃前後に予備加熱し、所定温度まで加熱して保持する殺菌法。72℃以上で15秒の殺菌が基本。
・超高温短時間殺菌法
120~150℃で1~3秒殺菌。
現在の主流の殺菌法で、高温のため風味や栄養価は低下する面がありますが、レトルト食品などにおいてもボツリヌス菌などの耐熱性の芽胞を有する微生物の殺菌目的でもおこなわれます。
ロングライフ牛乳
140~150℃で3~4秒殺菌。
ロングライフ牛乳は、光と空気を遮断する目的で紙とポリエチレンコート、アルミ箔を貼り合わせたロングライフ製品用の特殊容器に無菌的に充填することで、常温保存が可能な製品として販売されています。
牛乳の殺菌温度の違いにより、高温殺菌乳は低温殺菌乳よりホエイタンパク質の変性が進む傾向が見られています。
出典・参考:低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳の物性および風味特性 ほか
牛乳の風味異常が取りざたされることがあり、複合的な要因による影響、特定の原因が判明しにくい場合もありますが、主な原因可能性として、以下などが考えられています。
酸化臭(厚紙臭):牛乳中の不飽和脂肪酸割合が多い。
飼料の品質・内容、牛が十分な反芻をしていないことによる影響等も考えられています。
日光臭・キャベツ臭:光照射による脂質、タンパク質の酸化。
飼料臭:特に搾乳直前の飼料による影響。
麦芽臭:微生物。
酪酸臭(ランシッド臭):撹拌、泡立て、温度変化などの物理的要因により牛乳中に含まれる脂肪分解酵素リパーゼがはたらき、一部の脂肪が加水分解されて不快臭のある酪酸などを含む遊離脂肪酸が生成されることによる影響。
消毒臭:器具、設備消毒時に使用の消毒殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系の殺菌洗浄剤など)の混入、残留。
不潔臭:低温殺菌による
乳牛臭(アセトン臭):ケトーシス、飼料(エネルギー量の低い飼料、乳酸発酵した飼料などによる影響)、他の疾患を合併(低カルシウム血症、後産停滞、第四胃変位など)など
味が薄い:牛乳に水を加えた、生乳の栄養不足(稲わら飼料多給など)。
苦味:様々な要因が考えられますが、脂肪分解乳、微生物汚染乳など
塩味:乳房炎乳、泌乳後期乳など
他の臭気が生乳に移行、牛乳に吸着することで臭いを感じることがあります。消毒臭のある牛乳の事例は今までにも発生していますが、検査までの間に牛乳内で次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤の反応が進み、検査時に一定量以上の検出がなされないことがあるなど、異常風味発生時にその原因が特定しにくいこともあります。
開封後に苦味や酸味を感じる場合は、細菌が増加し品質が低下している可能性があります。また冷蔵庫内外の臭いを吸着しやすく、異臭を感じることもありますので、開封後は早めに消費するようにし、風味異常がある場合や塊ができていたり分離している場合は、摂取を控えるようにしましょう。
牛乳の加熱温度の違いにより、低温殺菌乳では超高温殺菌乳と比較すると未変性ホエイの含有量が多くなるといった違いがありますが、乳牛が生み出す生乳はエサの種類、乳牛の品種、個体差、乳牛の状態などにより、乳量や乳成分が変化し、また搾乳時期により成分変化があります。平均的な牛乳では
乳脂肪
8月が最も低く12月が最も低い
夏 3.6%ほど
冬 4.0%ほど
無脂乳固形分(タンパク質、炭水化物、灰分(ミネラルなど)の合計)
夏 8.4%ほど
冬 8.65%ほど
と、商品での表示においては、年間平均の栄養成分情報が表示されていますが、夏よりも冬搾乳の牛乳の方が乳脂肪、無脂乳固形分が少し高くなり、平均的な牛乳では上記ほどの違いがあります。
ほかにも分娩直後の初乳にはβ-ラクトグロブリンが多くなる傾向があります。
また改めて成分についてお送りしたいと思います。
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