体脂肪蓄積抑制効果は?
中鎖脂肪酸(MCT)は、門脈経由で直接肝臓に到達し速やかに代謝されることから、リンパ経由で全身の循環系に入っていかないため、血中トリグリセリドの上昇がほとんどないとされ、この性質を利用して、先天的に血中トリグリセリドが高い1型やV型原発性高脂血症患者の食用油に用いられ、また体脂肪蓄積抑制効果が誘導できるとされています。
ですが体脂肪蓄積抑制効果については、実際のヒトでの試験では、バランスよく食事をした場合、既に腹部脂肪がそれなりにある方にとって、とすべての方に効果的であるわけではないという意見もあります。
多量に摂取することでの影響
またMCTが極めて速やかに消化されることにより、小腸管腔内が高浸透圧になることが1つの要因となり、1日100gを超えるような多量を摂取した時には、腹痛や下痢の症状の可能性が報告されています。加え、中鎖脂肪酸の体脂肪蓄積抑制効果は、大量投与では効果がでず、ある程度少ないレベルで有効であるという報告もあり、摂取量コントロールも必要になります。
疾患、症状とケトン体食療法
中鎖脂肪酸はいままで日本では「体に脂肪が付きにくい」というメッセージの方が大きい声になっていますが、小児のてんかん発作に対しての有効性が示唆されています。
てんかん発作が絶食によって減少することは古くから知られており、脂肪が多く炭水化物の少ない食事で絶食と同等の効果が得られる、という考えのもとに、1920年代にメイヨークリニックで難治性てんかんに対するケトン食療法が発案され、その後、肝臓で代謝される際にケトン体になる特性を生かした中鎖脂肪酸(MCT)を使用するケトン食療法も普及し、採用する日本の病院もあります。
研究報告レベルのものも含め、ケトン体食療法が有効なのではと言われる他領域としては、認知障害、がんなどもあります。
ケトン体食療法はある一定期間を目標に、比率を変えながら栄養の偏りの調整をしながら進めていくというものであったり、やみくもにダイエットなどでも導入すると下痢症もしくは便秘以外に、低血糖、高尿酸血症、低カルシウム血症、腎尿管結石、感染症へ罹りやすくなる等、ケトン体の血中濃度が上昇し過ぎると、血液中の酸性度が高まり昏睡を招く危険性もゼロではありません。
ココナッツオイルの特徴
さて、ココナッツオイルは飽和脂肪酸が約90%、不飽和脂肪酸が約10%を占めます。飽和脂肪酸の中でココナッツオイルは約61%が中鎖脂肪酸、約28.5%が長鎖脂肪酸になります。
その中鎖脂肪酸のうちほとんどがラウリン酸、そしてカプリン酸、カプリル酸も含まれます。カプリン酸、カプリル酸は、病原性微生物の殺傷力がラウリン酸より高いとも言われています。
母乳中に中鎖脂肪酸は3%程度含まれています。この3%がどのようにどの程度働いているのか、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸について、まだまだ具体的に解明がされているわけではありませんが、先天代謝異常症などの治療に用いられる特殊ミルクにはMCTが多く含まれていたり、より必要とする乳児もいます。
ココナッツオイルは、中鎖脂肪酸比率が他油・脂と比較しても特に高い点に特徴があり、ココナッツオイル=中鎖脂肪酸と印象付けられていますが、3割弱は長鎖脂肪酸を含んでおり、長鎖脂肪酸の特徴も併せ持った油とも言えます。ココナッツオイルは飽和脂肪酸比率が高いことで、酸化されにくい面があります。
油は特徴に合った使い方をバランスよく
長鎖脂肪酸というと動脈硬化などを気にされる方、ショートニングやトランス脂肪酸を想起される方もいますが、ショートニングやトランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の植物油(多価不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸(紅花油、ひまわり油、綿実油、コーン油、大豆油))などを用いて製造されることが多いものでもあります。
油においては、バージンオイルなのか水素添加なのか、酸化や加熱による変性により健康への影響度合いが変わります。また大体の油において、長鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸のうち複数成分で構成されているものでもあります。
多価不飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:飽和脂肪酸の比率は3:4:3を厚生労働省は推奨しています。何らかの治療、改善目的であったり指導下でない限り、どんな油・脂もバランスよく摂取することが望ましいですね。
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