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2024.05.30
新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸炎においては、新生児期もしくは乳児期にミルクまたは母乳を開始した後に、嘔吐、下血などの消化器症状を呈することが多く、哺乳力減少、 不活発、体重増加不良、またイレウス、発達障害などを起こす場合もあります。新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎と診断されて、治療乳に変更した後に症状が改善することが多いものの、炎症が慢性化している場合は、 数週間症状が改善しない場合もあり、また乳製品除去母乳や高度加水分解乳においてもアレルギー症状を示す症例が20%程度存在する、との示唆も見られています。
当院 NICU において、2016年1月〜2021年12月までの6年間に新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症と診断された31例(全入院患者660例の4.7%)について後方視的に臨床的検討を行った。平均在胎週数は35.6±3.2週(27-40週)、平均出生体重は2394.5±715.4g(1024-3896g)で、臨床症状は嘔吐が最も多く 64.5%、腹部膨満が35.4%、血便が25.8%、下痢が12.9%であった。CRP上昇(0.5 mg/dl 以上)は23.3%、アレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)はカゼイン、ラクトフェリンの陽性率がそれぞれ48.3%、96.6%、便粘液好酸球は25%で陽性であった。
発症時の栄養は、母乳のみが2例、母乳添加用粉末併用が2例、低出生体重児用ミルクが2例で、他25例は普通人工乳で、治療乳への変更で大多数の症例が軽快したが、4例では変更後も嘔吐が続いたため,精査を進めたところ胃食道逆流症が判明し、治療を追加して軽快した(出典・参照:三木智貴 田中孝之 関屋朱音 松林優子 一木容子 内山環 松倉良香 池田幸広 中村健治 樋口嘉久 大津赤十字病院小児科 大津赤十字病院新生児科 当院 NICU において経験した新生児乳児食物蛋白誘発胃腸症 31 例の臨床像の検討)。
上記では、症状が遷延した例で胃食道逆流症が判明しており、消化管アレルギーの診断的治療によっても、嘔吐が改善しない場合に疑う必要性について、あらためて伺えるところですが、また新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸炎について追記したいと思います。
新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎と症状改善
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3307
複数種の食物が原因であったケース〜新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4763
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