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2018.01.24
日本医療安全調査機構によるまとめによると、注射剤によるアナフィラキシーでの死亡例においては、2015年10月1日~2017年9月30日の2年間で12件(アナフィラキシーと確定された事例、あるいは臨床経過と解剖結果よりアナフィラキシーと推定された事例、およびアナフィラキシーが否定できないとされた事例)おこっており、造影剤が4例、抗菌薬が4例(蛋白分解酵素阻害薬との併用1例を含む)、筋弛緩薬が2例、蛋白分解酵素阻害薬が1例、歯科用局所麻酔薬が1例となっています。
薬剤による反応においては、初回投与時から急性過敏反応を引き起こすこともありますが、
初回投与時から急性過敏反応を引き起こす場合
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2317
50歳代~80歳代の12例のうち造影剤を使用した4例においては、過去に複数回(2~5回)安全に使用した薬剤でも、致死的なアナフィラキシーショックが見られており、また、蛋白分解酵素阻害薬を使用した事例は、使用前に同薬剤の特異IgE抗体が陰性であることを確認し、4回安全に使用できたものの、5回目の投与でアナフィラキシー発症に至っています。
10例においては、アナフィラキシーの症状が出現し始めたのが5分以内であり、特に静脈内注射によるアナフィラキシーは、発症から急変までの時間が短い中で、アドレナリン0.3mgを筋肉内注射していたのは1例で、筋肉内注射の時期を逸して、心肺停止後や心肺停止に近い状況で、蘇生目的でのアドレナリン1mgの静脈内注射が実施されることも多いことが伺えます。
また、アナフィラキシーの症状が出現する際、蕁麻疹など皮膚症状が出現しないこともありますが、12例においては蕁麻疹、膨疹などの皮膚症状の出現は見られておらず、ふらつき、喉の痒み、しびれ、嘔気、息苦しさ、くしゃみ、体熱感、静脈内注射後に血管の走行に沿った発赤、両手背から前腕や顔から首にかけての紅潮、眼球上転、痙攣など、麻酔事例では急速な呼吸困難などが見られています。
それまでに複数回使用しアレルギー症状の自覚のなかった、または特異的にIgE抗体陰性であった薬剤でのアナフィラキシーの発症のケースもある一方、過去に当該薬剤使用により嘔吐、意識消失の経験のあった方でのアナフィラキシーも見られており、当該薬剤へのアレルギーの既往などの情報を多職種間で共有できていなかった例、患者さんのアレルギー情報の記載場所が不統一だった例、患者さんのアレルギー情報と後発医薬品の情報が同一表示ではないために気付かなかった例、電子カルテに禁忌薬剤を手入力した場合に警告機能が作動しなかったと考えられる例なども挙げられています。
提言としても表されていますが、アレルギー反応のあった薬剤の有効成分を同じくする別名の薬剤においても、同様に薬剤アレルギー情報の共有がなされ、また薬剤投与に際してはアナフィラキシー発症の可能性を常に意識し、アナフィラキシー発症時に速やかにアドレナリンの筋肉内注射をおこない早期に対応されるとともに、今までに薬剤使用後に不調を来した場合においては、その旨を都度伝えることでも備えていきたいところです。
出典・参考:注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
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