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アドレナリン製剤における禁忌事項の変更

2018.03.27

投稿者
クミタス

海外でのアナフィラキシーガイドライン上では禁忌とされていないものでも、国内のアドレナリン自己注射薬「エピペン」添付文書上では、抗精神病薬のブチロフェノン系薬剤(セレネース、トロペロンなど)、フェノチアジン系薬剤(ウインタミンなど)、イミノジベンジル系薬剤(デフェクトンなど)、ゾテピン(ロドピン)、リスペリドン(リスパダール)や、α遮断薬、 イソプロテレノール等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬(プロタノールなど)を使用している方においては、 エピペンは使用禁忌となっていましたが、2018年3月27日付で厚生労働省より以下の「使用上の注意」の改訂指示が示されており、禁忌ではなくなる内容で変更されることになります。


●【医薬品名】アドレナリン(蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療の効能を有する製剤)
例:エピペン注射液 0.15%、0.3%など

[禁忌]の項の「次の薬剤を投与中の患者(ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬、α遮断薬)」を削除、
[相互作用]の「併用禁忌」の項の「抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬」を削除し、
「併用注意」の項に「抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬」を追記。


●【医薬品名】アドレナリン(各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療の効能を有する製剤)
例:ボスミン注

[禁忌]の項の「ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬、α遮断薬」の記載を
「次の薬剤を投与中の患者
ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬、α遮断薬(ただし、アナフィラキシーショックの救急治療時はこの限りでない。)」と改め、
[相互作用]の「併用禁忌」の項の抗精神病薬、α遮断薬に関する記載を
「抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬〔臨床症状・措置方法:本剤の昇圧作用の反転により、低血圧があらわれることがある。アナフィラキシーショックの救急治療時以外には併用しない。〕」と改める。


「アドレナリンとα遮断薬の併用は、血圧低下が起こるおそれがあるものの、アナフィラキシーは致死的な状態であり、迅速な救急処置が必要とされることから、アナフィラキシー治療時に患者さんの急な容態変化にも対応できる体制下にてアドレナリン製剤を使用することは、リスクを考慮しても許容出来ると考えられ、
実際に国内で集積された副作用の情報では重篤な転帰に至った症例はなく、海外添付文書においてもアドレナリンと α遮断薬については禁忌とされていないことから、α遮断作用を有する抗精神病薬、α遮断薬を使用中の患者さんにおいてアナフィラキシーまたはアナフィラキシーショックが発現した場合に限っては、アナフィラキシー補助治療用アドレナリン製剤及びショック補助治療等アドレナリン製剤の使用は差し支えない」、と判断しています。

同様にα遮断作用のある抗精神病薬の添付文書においては、アドレナリンが併用禁忌となっている製剤については、アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除き禁忌、使用禁忌の旨が記載されることになります。

出典:「使用上の注意」の改訂について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000199591.pdf
今回の調査の経緯 1. 本邦におけるアドレナリン製剤の状況
https://www.pmda.go.jp/files/000223489.pdf

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