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灯油誤飲による損傷

2025.02.17

投稿者
クミタス

灯油による中毒においては、皮膚症状、呼吸器症状、化学損傷、眠気、協調運動障害、昏迷、昏睡、けいれん発作などの神経症状などを生じる場合があります。
灯油皮膚炎について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4010 
灯油による中毒
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3903 
今回は灯油誤飲による肛門周囲化学損傷が考えられたケースを掲載します。
 
78歳女性。認知症あり。2日前に家族が灯油臭のする食器を発見し、便からの灯油臭にも気づいた。灯油誤飲が疑われ、近医を受診したが、症状を訴えなかったため、検査や処置が行われず経過観察となった。翌日から活気が低下し、別医で施行された胸部CTで化学性肺炎と診断され入院となった。入院時、肛門周囲に広範なびらんがあり、灯油混入便による化学損傷と診断した。入院後に菌血症を併発し抗菌薬を投与した。肛門周囲の化学損傷はステロイド軟膏の外用で入院8日目にはほぼ上皮化し、化学性肺炎も自然軽快したため、20日目に転院となった。過去20年間で本邦の60歳以上の認知症高齢者に生じた化学損傷は自験例を含め19例の報告があり,灯油誤飲によるものは6例であった(出典・参照:澁田恭平, 井汲菜摘, 伊﨑聡志, 武藤智和, 藤田英樹 日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野 日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学野 認知症患者の灯油誤飲による肛門周囲化学損傷の1例)。
上記報告では、灯油誤飲により化学性肺炎や灯油混入便による肛門周囲の化学損傷を生じる可能性を示唆しています。誤飲に関しては以下のケースなどもあります。ご参照ください。
エタノール含有洗口液の誤飲と急性アルコール中毒
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4672
つまようじの誤飲による消化管穿孔
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4257
小さい玩具・文具の誤嚥、誤飲に際して
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2500
乾燥剤の中身が付着した食品を摂取した場合~生石灰、消石灰
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3485

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