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​フィラグリン遺伝子変異と食物抗原への感作 11.24更新

2018.06.19

投稿者
クミタス

皮膚(上皮)バリア機能が低下した状態では、皮膚経由で様々な物質を取り込みやすくなり、経皮感作する可能性が高まる可能性があります。アトピー性皮膚炎患者さんにおいては、皮膚バリア機能が低下している方は少なくありませんが、すべての方でフィラグリン遺伝子変異があるわけではなく、日本人のアトピー性皮膚炎患者さんの中では、約20~30%においてフィラグリン遺伝子変異が見られると言われており、またIgE抗体反応が正常値範囲の方も見られています。

フィラグリンが少ない状態では、角質細胞ははがれやすく、経皮水分蒸散量(TEWL)が多くなりますが、生後2日時点での経皮水分蒸散量(TEWL)が多いと、2歳時点での食物アレルギー有無に関連がある可能性があり、アトピー性皮膚炎でなくても皮膚バリア障害を起こしていることは、食物アレルギー発症を高める可能性があるとの示唆もあります。
生後2日の皮膚バリア機能障害と2歳時点での食物アレルギー有無との関連
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1315

フィラグリン遺伝子変異と食物アレルゲン感作との関連は?


感作の点では研究報告において諸説あり、
・幼児期湿疹は、16歳までの食物アレルゲン、大気中のアレルゲンの両方のIgE抗体反応と関連しており、フィラグリン遺伝子変異は、4歳でのピーナッツでのIgE抗体反応と関連していたが(調整オッズ比1.88,95%CI、1.03-3.44)、16歳までのピーナッツ以外の食物アレルゲンでのIgE抗体反応とは関連が見られなかったとする示唆(Johansson EK et al. IgE seinsitization in relation to preschool eczema and filaggrin mutation.)、
・フィラグリン遺伝子変異は、2歳時での卵アレルギーとの関連はなかったとする示唆(The natural history and clinical predictors of egg allergy in the first 2 years of life: A prospective, population-based cohort study)
などもあります。

フィラグリン遺伝子変異以外にも、皮膚の状態を悪化させる要因は考えられるところであり、​
皮膚バリア機能の低下要因とは?制御に向けて①
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1828
アトピー性皮膚炎においても、IgE抗体反応が高い傾向にある方、正常範囲の方、乳幼児期から皮膚に炎症のある方、無い方、手湿疹、亜急性痒疹がある、金属アレルギーのある方などのタイプでの情報も含めアップデートしていきたいと思います。

皮膚炎症下での食物アレルギーの症状への影響可能性
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2611

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