1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

アレルギーと心因反応、迷走神経反射

2018.08.01

投稿者
クミタス

アナフィラキシーに際しては、冷静で迅速な対応が求められるところではありますが、一度アナフィラキシーを経験していたり、また経験をしていなくても心因反応、ストレスや強い痛み、排泄や腹部内臓疾患などによる刺激から脳幹血管運動中枢を刺激し、心拍数の低下、血圧低下などをきたす迷走神経反射がおこり、アナフィラキシー、アレルギー反応と区別が付きにくい場合もあります。

アレルギー既往のない11歳男児において、りんご1/8個を摂取後、呼吸困難を訴え救急病院を受診し、アナフィラキシーと診断され、アドレナリン筋注等の治療を受けた。後日精査目的での食物経口負荷試験 (オープン法) ではりんご1/8個摂取後に呼吸困難が出現し、アナフィラキシーと判断されアドレナリン筋注が施行されたが、呼吸困難は持続し過換気状態となりpaper bag法で軽快した。この結果から心因反応の可能性も考慮し、生活背景の聴取を行ったところ、多忙な生活背景が伺え、その後施行されたブラインド法でのりんごの食物経口負荷試験は陰性で、心因反応が強く疑われた。臨床心理士による母親との面談を通じて家族関係、学習塾、スポーツ活動などに対する児の葛藤、負担感、欲求不満が強く推測され、カウンセリングによる対応の後、症状を認めなくなった(出典:りんご摂取によりアナフィラキシー様症状を呈した心因反応の1例)

就学児以降での食物経口負荷試験の際や、麻酔薬などの注射薬における注射の痛みや恐怖心などによっても迷走神経反射、心因反応が起こることがあり、またアナフィラキシー、アレルギー反応と迷走神経反射、心因反応が合わさる場合もあります。血圧低下、顔面蒼白、虚脱、吐き気、嘔吐などアナフィラキシーの症状とも類似する点もありますが(膨疹、発赤、蕁麻疹などの皮膚症状はアナフィラキシー、アレルギー反応で見られる傾向があると見られています)、アナフィラキシーの既往がある方は特にアナフィラキシーへの対応をまずおこなうとともに、日頃から不調の原因となり得る心理的、肉体的負担をできるだけ軽減しておきたいですね。

    {genreName}

      {topics}