Author クミタスさん
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2018.08.13
虫垂炎はいわゆる「盲腸」として知られていますが、盲腸の先部分にある虫垂突起に炎症反応がある状態のことで、炎症が粘膜に限局したカタル性虫垂炎、炎症が進展し虫垂壁全体におよぶ蜂窩織炎性虫垂炎、さらに炎症が進行し壊死などがおきる壊疽性虫垂炎などに分類されます。虫垂炎では虫垂に穴が開く(穿孔)、膿瘍形成する、虫垂組織が壊死する、腹膜炎に至る重症化例が見られることがあります。
スウェーデンでの研究において、IgE抗体を介するIgE依存性アレルギーのある子供は、虫垂炎を発症した際、壊死や穿孔など重症化するリスクがより低いのでは、との示唆がなされています。
605人の子供(男子63%、7~12歳。年齢中央値10歳)のうち、IgE依存性アレルギーのある子供102人と、IgE依存性アレルギーのない子供503人と比較したところ、壊死や穿孔がある状態の重症化した虫垂炎に罹患していたのはIgE依存性アレルギーのある子供のうち20人(19.6%)、IgE依存性アレルギーのない子供群では236人(46.9%)で、有意に差があったことや、IgE依存性アレルギーを有する小児では、虫垂炎での入院期間が短い傾向にあったことを報告しています(出典・参照:Association of IgE-Mediated Allergy With Risk of Complicated Appendicitis in a Pediatric Population)。
アレルギーにはIgE依存性反応、非IgE依存性反応があり、上記はダニ、花粉、動物の毛などのIgE依存性アレルギー有無での比較になります。壊死や穿孔など重症化する虫垂炎においては、壊死や穿孔に至らない虫垂炎と免疫応答に違いがあるのではないかとの考え方もあり、アレルゲンによっても異なる可能性がありますが、アレルギーのある方と無い方において、壊死や穿孔など重症化リスクに違いがあるかもしれないことを示唆する内容になります。
「虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で役割を果たすIgAの産生に重要な場となり、腸内細菌叢の制御に関与している」(出典:Generation of colonic IgA-secreting cells in the cecal patch)との研究報告もなされていますが、他の調査、研究例なども今後追記していきたいと思います。
抗IgE抗体について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2545
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