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ベイクドミルクの使用について①

2021.10.31

投稿者
クミタス

乳アレルギー患者さんにおいて、牛乳と小麦粉を混ぜて加熱したベイクドミルクを使用した経口免疫療法がおこなわれることがあります。ベイクドミルクにおいては、摂食後の胃内容排出速度が牛乳やスキムミルク摂食時よりも遅く、徐々に吸収されることで症状誘発閾値に達しない状態で摂取できる可能性も考えられています。

牛乳と小麦粉を混ぜ、140℃で10分加熱しベイクドミルクを作製し、加熱しないドウも作製。それぞれを凍結乾燥後、30分間ペプシンにて、次いでパンクレアチン(膵液に含まれる多種の酵素の混合物)で消化処理を行った後、ベイクドミルクと加熱しないドウのそれぞれのタンパク質を抽出し、抽出溶液中のカゼインをイムノブロットにて解析したところ、ドウからカゼインは検出されなくなり、ベイクドミルクではパンクレアチン処理後もカゼインが検出されており、ドウと比較してベイクドミルク中のカゼインは消化されにくいということを示唆しています。
また、マウスにてスキムミルクを投与する群、ベイクドミルクを投与する群に分け、各試料を牛乳タンパク質量が揃うように調整して経口投与。30分後の胃、小腸からタンパク質を抽出し、カゼインをイムノブロットにて解析。採血を行い ELISA法 により血中カゼイン濃度を解析したところ、スキムミルク群では胃、小腸上部でカゼインが検出されたが、ベイクドミルク群でカゼインが検出されたのは胃のみであった。また、血中カゼイン濃度を解析した結果、経口投与30分後、スキンミルク群に比べてベイクドミルク群の方が低い傾向にあった。しかし、経口投与60分以降ではスキンミルク群、ベイクドミルク群において差はみられなかった、と報告しています。
ベイクドミルク使用の経口免疫療法においては、牛乳使用時と比べ、乳タンパク質による反応を抑えながら進められる可能性があるとも考えられています。

鶏卵アレルギー児には、baked egg が使用されることがあります。
喘息の合併がある場合には、状態がコントロールされていても重篤な呼吸症状、アナフィラキシーを誘発する可能性が高まり、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の憎悪時には食物経口負荷試験の結果の判断が難しく、症状もより重篤になりやすくなることがあるとの示唆もありますが、安全な食物経口負荷試験などについてもまた別途掲載していきたいと思います。
 

出典・参照:和泉 秀彦, 山田 千佳子, ベイクドミルク中のアレルゲンの消化吸収性, 日本調理科学会大会研究発表要旨集, 2018, 30 巻, 平成30年度大会(一社)日本調理科学会, セッションID 1C-4, p. 12-, 公開日 2018/08/30
 A Nowak-Węgrzyn 他 J Allergy Clin Immunol Pract 2018;6:486-95  Increased Tolerance to less Extensively Heat-Denatured(Baked)Milk Products in Milk-Allergic Children ほか

除去解除と食品加工
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4300

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