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腸炎ビブリオ、ビブリオ・バルニフィカスについて

2018.09.12

投稿者
クミタス

腸炎ビブリオ感染症とは


魚介類が原因と考えられる腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)感染症例がニュースでも取り上げられていますが、ビブリオ属のVibrio parahaemolyticusは魚介類に付着、増殖し、汚染した魚介類を加熱しない状態で摂食すると、数時間~12時間前後の潜伏期を経て、腹痛、水様性、粘液性の下痢が生じる食中毒原因菌となります。
2~3%の塩分濃度、15℃~42℃の環境下を好み、海水域、河川が流れ込む海域で見られ、海水温が10℃超であれば冬も生息しています。
一方、10℃未満や真水には弱く、水洗いをすることでも増殖を抑えられ、食品の中心温度が60℃で10分以上加熱で死滅しますので、家庭では手指、調理器具の洗浄と調理の順番、冷蔵保存、加熱調理を心がけられると良いでしょう。

ビブリオ・バルニフィカス感染症とは。皮膚症状が現れることも


腸炎ビブリオ感染症と似た名称のビブリオ・バルニフィカス感染症は、Vibrio vulnificusが原因の感染症で、同じくビブリオ属になりますが、敗血症に至る場合など、ビブリオ・バルニフィカスが血液に入って全身に感染した場合、致死性が高くなります。
市販の貝類(アサリ、ハマグリ、カキ、ホタテなど)、冷凍エビなどでの汚染割合は低くなく、塩分濃度1%~8%の環境でも発育するため、海水域、汽水域、河口域でとれる甲殻類や魚介類による感染リスクがあり、これらの水域で汚染した貝の殻でケガをしたり、汚染した海水が皮膚の傷から入ることで感染することもあります。また、20℃以上を好みますが、8℃~の低い水温環境での生育も見られることがあります。
中でも肝臓疾患のある方、鉄剤摂取中の貧血患者さんはハイリスク群と言われており、病原性、増殖性が増し、重症化する場合があります。貝、エビなど魚介類を食べた後で、また傷のある状態で上記の海水域、水域に入った後で紅斑、水疱、血疱、潰瘍など、皮膚に異変が現れた場合は、早く受診できるのが望ましいでしょう。また食品の中心温度が70℃で1分以上加熱で死滅するとされ、アメリカでは貝類では口が開いてから5分間以上茹でる、または9分間以上蒸す、殻付カキでは 3分間以上茹でることを推奨していますが、加熱調理を心がけられると良いでしょう。

出典・参照
ビブリオ・バルニフィカスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060531-1.html

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