ハチ毒によりアナフィラキシーを起こした場合は、食物アレルギーによるアナフィラキシー時と同様にアドレナリン投与が対処法となります。現在ハチ毒の免疫療法は日本では保険適応ではありませんが、ハチ刺傷によるアナフィラキシー出現の再発防止目的を主として、職業上刺傷頻度が高い方などに一部の医療機関にて主に成人で免疫療法が実施されています。
・スズメバチ用、アシナガバチ用、ミツバチ用のハチ毒エキスが存在
スズメバチとアシナガバチの毒は共通抗原性があるため、どちらか一方の治療を行えば両方に効果が期待できるともみられています。
・ハチ毒エキスの濃度や量、投与間隔などに違い
事前に施行しておいた皮内テストの閾値から濃度を決定。定期的に少しずつ抗原の濃度、量を増やしていきます。
海外でのケースでは、5年以上維持療法を施行し中止した患者74名に対し、1〜2年ごと人為的に蜂刺傷をチャレンジし、74名中7例(10%)、270刺傷中8刺傷(3%)に全身症状が認められた、との報告から、一般の人が蜂に刺された時の全身症状の出現率(約10~20%)よりも低いことが伺え、維持療法を5年間は継続する必要があるとの示唆もあります。
日本でのスズメバチ、ジガバチおよびミツバチとの接触による死亡者数は、
2017年 男性9名、女性4名
2016年 男性20名、女性3名
2015年 男性20名、女性4名
と、食物アレルギーでのアナフィラキシーによる死亡者数
2017年 男性1名、女性3名
2016年 男性2名、女性0名
2015年 男性0名、女性0名
よりも多い状況となっていますが、どのくらいの期間、維持するのがよいか等、また情報をアップデートしていきたいと思います。
ハチ刺傷による反応
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2312
出典・参考:Golden DB, Marsh DG, Kagey-Sobotka A, et al:Epidemiology of insect venom sensitivity. JAMA 262:240- 244, 1989
アレルギー免疫治療の最新の進歩 蜂毒アレルギーの臨床 獨協医科大学 内科学(呼吸器・アレルギー) 平田 博国 石井 芳樹
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