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2018.10.31
乳幼児においては、出生時、発育時の環境などにおいても腸内細菌の構成が異なることがあり、また発育段階でも違いが見られるとの示唆もあります。
最近の海外での研究でも、生後3~46か月の乳幼児903人から月1回採集された12,500点の糞便検体の、塩基配列解読による遺伝子解析を行ったところ、発達期(生後3~14か月)、移行期(生後15~30か月)、安定期(生後31か月以降)の3段階で変化し、発達期には、母乳育児とビフィズス菌(Bifidobacterium)属増との関連が認められ、離乳後の乳幼児は、より多くの種類の食物を摂取するとともに、多様性が増加したとの報告がなされています(出典・参照:Temporal development of the gut microbiome in early childhood from the TEDDY study)。
乳幼児においては、以下などの要因により腸内細菌に違いが見られる可能性があります。
・経膣分娩、帝王切開での違い
経膣分娩により出生した乳児は母親の膣口までの細菌叢に暴露することで、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、プレボテラ(Prevotella)属、スネアチア(Sneathia)属等が優勢菌となり、帝王切開では母体の皮膚由来などと思われるスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属などが優勢菌となり、全体的には経膣分娩で出生した乳児の方が、腸内細菌がより多様になるとの示唆もあります。
・制酸剤、抗菌薬の使用有無による違い
腸内細菌叢と炎症、アレルギー~制酸剤、抗菌薬
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2655
にも掲載しておりますが、制酸剤、抗菌薬により腸内細菌網は影響を受け、細菌によっては減少、または異常増殖します。生後すぐに抗生物質を使用した児では、ビフィズス菌(Bifidobacterium)属の量が少なく、エンテロコッカス(Enterococcus)属の異常増殖が見られたとの報告もあります。
・きょうだいの有無による違い
第2子、第3子においては、第1子と比べ、家庭内で曝露する細菌量や多様性に違いがある可能性があります。
・ペットとの接触有無による違い
2009年~2012年に出生した746人の乳児の生後3か月時に採取した糞便試料を分析し、家庭でのペット飼育有無で比較したところ、妊娠中にペット飼育している家庭、妊娠中と出産後の両方の期間にペット飼育している家庭、ペット飼育経験無の家庭の乳児では、腸内細菌によっては生後3か月時で違いがあることを報告しており、妊娠中、また妊娠中と出産後の両方の期間にイヌやネコなどの毛で覆われた動物を飼育している家庭の児では、オシロスピラ(Oscillospira)、ルミノコッカス(Ruminococcus)属の菌が腸内で増えていることを指摘しています。
家庭で動物と同居することはどんな影響をもたらすのか?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2039
・摂食する食物による違い
母乳育児、人工乳での育児による乳児においては、腸内細菌の構成などに違いが見られるとの示唆があります。
ほかにも出生場所、指しゃぶりや爪噛みをしている児においても、腸内細菌の個人差を生みだす要因となる可能性がありますが、摂食する食物による違いについては、別途お送りしたいと思います。
出典・参照:ヒト腸内細菌叢のダイナミズムとダイバーシティ九州大学大学院生物資源環境科学府生命機能科学専攻 内川 彩夏 、田中 優 、九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門システム生物工学講座 中山 二郎
参考:アレルギーと出生順との関連
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1507
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