楽器によるアレルギーについては、ヴァイオリンにおいては木材、金属(ニッケルなど)、ニスの成分、弓毛、松脂などが原因物質になることがありますが
楽器とアレルギー~ヴァイオリンの例
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金管楽器、マウスピースなどの金属が皮膚や粘膜に接触し、溶出した金属イオンが体内に取り込まれアレルギー症状が出現することがあります。
今回はチューバのマウスピースによる金属アレルギーが原因と疑われる口腔粘膜炎の発症ケースを掲載したいと思います。
10歳8か月女児。小学校の金管バンドクラブに所属して以降、歯肉の腫脹や口腔内の炎症所見を認めたため、近医にてパッチテストや血液検査を施行されるも金属アレルギーおよび自己免疫疾患は否定された。当科初診時には、唇頰側歯肉と頰粘膜に軽度自発痛ならびに発赤を伴う、びまん性腫脹を認めた。歯肉は出血しやすい状態で、仮性ポケットが形成されており、歯周病原細菌検査にて歯周病原細菌は基準値以下であった。歯肉増殖部位の病理組織検査は歯肉炎の診断であり、口腔衛生指導を徹底したが、症状の改善はみられなかった。ところが楽器(チューバ)とマウスピースの変更を契機に口腔内の炎症が劇的に改善し、その1か月後には、健全な口腔粘膜の状態を呈していた。新旧のマウスピースを比較したところ、旧マウスピースではめっきが剥がれている箇所が多数みられた。金属組成分析ならびに金属パッチテスト検査を行ったところ、クロムにアレルギーがある可能性が高いことが明らかとなり、金属アレルギーが原因で引き起こされた口腔粘膜炎と診断された。口腔内はマウスピースの変更以降、良好な状態が継続している(出典・参照:金管楽器マウスピースによる金属アレルギーが原因と考えられた口腔粘膜炎の1例)
金属製品が触れた口唇部、口唇周囲、口腔内にかゆみ、紅斑、びらんを生じることがあり、金属スプーンが原因となることがありますが、繰り返し接触する機会のある楽器も症状出現の原因となることがあります。マウスピースにおいては、木製、樹脂製、チタン製のものも存在していますが、口腔内、口唇部に症状が見られる場合は、含有物質に反応している可能性も視野に、受診をしての原因物質の特定や、原因物質に直接接触したり溶出しない製品の選択ができると良いでしょう。
乳幼児での金属アレルギー
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