Author クミタスさん
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2018.11.16
鉛フリーの釣り用のおもりも増えてきましたが、鉛弾(散弾含む)や、ダイビングのウェイトなど鉛製のものも多く、回収されず放置された状態で取り込みやすいサイズの鉛製品を生物が体内に取り込むと、鉛汚染、鉛中毒をおこすことがあります。野生鳥獣において以下などの原因が考えられ、防止のためには、非鉛弾の普及も求められるところでもあります。
・野生鳥獣が鉛弾等由来の鉛の粒を誤飲、誤食し鉛汚染、鉛中毒に至る
・鉛弾の破片を含有する死亡した野生鳥獣の残さを、野生鳥獣が摂食することで鉛汚染、鉛中毒に至る
野生鳥獣を狩猟する際に鉛弾に被弾することで、肉が鉛に汚染されることがあります。鉛弾で狩猟されたノロジカなどの有蹄類の肉は、非鉛弾での狩猟肉よりも、含有鉛量が多く、鉛量は、弾丸の経路に近い胸などだけではなく、経路から離れた背中及び腿などの部位にも多く含まれる、との研究報告もドイツ連邦食糧農業消費者保護省(BMELV)から2013年になされています。野生鳥獣において過去に被弾した鉛弾片などが残留した状態であった場合もあり得るところで、野生鳥獣の健康への影響、また鉛汚染肉、鉛散弾が残留したジビエ肉を摂食する人間における影響可能性も考えられるところでもあります。
ヒトにおける鉛の有害性に関しては、低濃度での継続的な鉛曝露による神経系、血液・造血系への影響等が疫学研究で示唆されています。特に神経系への影響については、他の器官に比べて感受性が高いということが多くの疫学研究や動物実験等で報告されており、胎児や小児の発達段階にある中枢神経系に対する影響が最も懸念され、胎児、小児、妊婦、授乳中の女性、妊娠可能な年齢層の女性がハイリスク者と考えられています。
海外での報告では、ウッドコック(ヤマシギ)では、調理された鳥の5.4%で鉛含有量が10mg/kg以上を示したとの示唆もあります。日本では平成17~26(2005~2014)年の摂取量調査の結果から、過去10年間の鉛の摂取量の平均値を食品群別に算出したところ、1日の平均摂取量は米から4.5μg/日、野菜・海藻から2.0μg/日、雑穀・芋から1.7μg/日、合計量として諸外国と同程度ではあるものの、米の摂取量が多い日本人では、特にハイリスク者においてできるだけ鉛の摂取量が著しく超過しないようにできることも望ましいところでもあります。
野生鳥獣においては銅弾での狩猟、また猟銃以外で狩猟されることもあり、ハンターが狩猟した鳥獣においては、解体・加工・販売に必要な営業許可を取得している施設で実施し、また、冷蔵前に銃弾の残存について金属探知機により確認することが望ましい(野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針)、とされています。適切な経路でない入手、十分な加熱でない野生鳥獣肉の摂食は感染症の観点からも望ましくありませんが、普段からジビエ肉の摂食機会のあるハイリスク者においては、鉛のリスクにも留意しておけると良いかもしれません。
出典・参照:
鉛以外の金属材料で作られた無毒性の散弾等の使用
https://www.moriniikou.jp/index.php?itemid=33&catid=18&blogid=11
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、ジビエの汚染に関して、主に鉛による化学汚染物質へのばく露の低減を推奨することを公表
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04910040475
Lead-shot game
https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/lead-shot-game
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