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ウイルス感染と喘息 12.11更新

2018.12.02

投稿者
クミタス

風邪の原因となるウイルスは、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど多く存在しています。
RSウイルスに感染すると主に咳、ライノウイルスに感染すると主に鼻水症状が強くなる傾向がありますが、気管支喘息増悪の一因となるともみられており、小児期のライノウイルス感染は、気管支喘息の発症、増悪との関与可能性が高いと考えられています。

IL-33はTh2型のアレルギー性気道炎症を病態とする気管支喘息に関与する可能性が考えられているサイトカインですが、気道上皮細胞にライノウイルスが作用するとIL-33濃度が上昇するとみられています。
喘息患者さんの気道上皮細胞はヒトライノウイルス感染によって産生されるインターフェロン(IFN)-β が、喘息でない方と比べて低下しており、また喘息患者さんの気道肺胞洗浄液中の細胞にライノウイルスを感染させた際に産生されるインターフェロン(IFN)-λが、喘息でない方と比べて低下していることが報告されています。
気道上皮細胞などで抗ウイルスインターフェロン(IFN)の産生不全がある場合などは、上皮細胞が剥離し、IL-33がさらにマスト細胞を活性化し、ロイコトリエンの産生を惹起し、慢性閉塞性肺疾患、喘息、乳児の細気管支炎、小児、免疫抑制患者、高齢者の顕著な下気道感染症の発症、増悪を誘発する可能性が考えられています。

染色体17q21変異があると、小児期にライノウイルスに感染することでの喘息発症リスクが高まるとの示唆もありますが、ライノウイルス感染により誘導される免疫応答の表現型には複数パターンが存在し、疾患の重篤度に影響するとも見られています。治療方法の探索を目的とした様々な研究もなされていますが、新たな治療方法の動向などもアップデートしていきたいと思います。

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