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食物アレルギーの検査①~特異的IgE抗体測定について

2018.12.04

投稿者
クミタス

食物アレルギーの検査においては、以下などがあります。
I型アレルギー(即時型アレルギー)での検査法
免疫学的検査
・プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト
(皮内テストはアナフィラキシーを誘発するリスクがあることからも食物アレルギーの検査では行わないことが多いところでもあります)
・特異的IgE抗体試験
・好塩基球ヒスタミン遊離試験
(アレルゲンに反応した末梢血好塩基球が遊離するヒスタミン量を測定します)
・好塩基球活性化試験
(好塩基球ヒスタミン遊離試験同様に、IgE依存性の好塩基球活性化を定量する検査になり、ヒスタミン遊離ではなくCD63、CD203c発現を測定します)

確定診断、耐性獲得の確認
・食物経口負荷試験
(アレルギーが確定しているか疑われる食品を、1~複数回分割して摂取し、症状の有無を確認します)

・食物依存性運動誘発アナフィラキシーにおける誘発試験
(食物依存性運動誘発アナフィラキシーにおいては、原因食物と運動との因果関係が明確でない場合に、運動負荷、またアスピリン投与をおこない症状が出現するかなどを確認します)

血液での特異的IgE抗体試験は、感作されているかを示すもので、陽性であってもアレルギー症状が出現するとは限らないと解釈する必要があるものになります。特異的IgE抗体試験には、複数のアレルゲンを同時に試験する多項目測定法と、1つのアレルゲンごとに試験する単項目測定法があり、多項目測定法、単項目測定法それぞれに複数の試薬(製品)があります。同じ血液を使用しても測定法、試薬(製品)により試験結果が異なることがあります。

果物の主要アレルゲンの1つであるPR-10に感作している31人、同じく果物の主要アレルゲンの1つプロフィリンに感作している12人のいずれの群において、多項目測定法(マストイムノシステムズIVⓇとViewアレルギー39Ⓡ)のりんご特異的IgE抗体陽性率は単項目測定法のImmunoCAPⓇと同等レベルであったが、マストイムノシステムズIVⓇ(MAST)の桃に対するIgE抗体陽性率は、単項目測定法より顕著に低かった、との報告もあります(出典・参照:特異的IgE 抗体同時多項目測定検査における果物特異的IgE抗体の感度 福冨 友馬、南 崇史、谷口 正実)。

特異的IgE抗体試験においては、単項目測定法のImmunoCAPⓇ(UA/ml)とアラスタット 3g Allergy(IUA/ml)間で鶏卵での測定値が大きく異なるとも見られています。特異的IgE抗体試験結果においては、卵白の主要アレルゲンのオボムコイド、小麦の主要アレルゲンω-5グリアジン、ピーナッツの主要アレルゲンのAra h2など、アレルゲンコンポーネントレベルでの感作状況を検出することは、スクリーニング上参考になりますが、食物アレルギーの診断確定のうえでは、食物経口負荷試験が重要な試験となります。
上記はご存知の方も多い情報ではありますが、次回、好塩基球活性化試験、好塩基球ヒスタミン遊離試験についてお送りしたいと思います。

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