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口腔内細菌による影響~アレルギーとの関連可能性は?

2018.12.14

投稿者
クミタス

口腔内細菌による影響としては以下などの可能性が考えられており、歯周病対策、口腔ケアの必要性が挙げられています。

・誤嚥性肺炎
口腔内の細菌が唾液等に混ざり、誤って気道に入り込み、炎症をおこすことがあります。
・動脈硬化症、冠動脈疾患
歯周病菌が増えると、歯肉経由などで歯周病菌やその菌体成分などが、血管に入り傷害を与えたり、歯周組織で炎症をおこしていることで作られた炎症性サイトカイン(IL- 1、IL-6、TNF-αなど)が血管に入り、血管内皮細胞やアテローム性動脈硬化部分の免疫細胞が活性化されて、血管内皮傷害を引きおこし、炎症細胞を血管内に浸潤・集積させ、プラーク進展・血栓形成を引きおこすなどが考えられています。
・感染性心内膜炎
口腔内の細菌が血管を通り心臓の内膜に住み着いて炎症をおこすことがあり、心臓の弁に障害がある、人工弁を入れているなど、血液の流れが滞ることがある方におこりやすい面があるとみられています。
・糖尿病
炎症のおきた歯周組織で作られた炎症性サイトカインTNF-αが血中に流れ、インスリン抵抗性(インスリンが骨格筋細胞や脂肪細胞に血中の糖を取り込ませるのがうまくいかなくなる)が生じる可能性が考えられています。
・早期低体重児出産
炎症のおきた歯周組織で作られた炎症性サイトカインや、歯周病原細菌、菌体成分などが、子宮の収縮を誘発する可能性があり、歯周病のある妊婦さんにおいて、早産(妊娠37週未満の出産)や低体重児(2,500g未満)出産のリスクが高くなることが報告されており、低体重児を出産した女性は、正常児を出産した女性に比べて歯周病の重症度が高く、低体重児出産のリスクが高い可能性があります。
・関節リウマチ
歯周病の原因細菌の一つであるポルフィロモナス ジンジバーリスのもつ酵素により、リウマチに関連するシトルリン化タンパクの生成が増え、抗CCP抗体が作られるとの示唆もあります。

アレルギーと口腔内細菌網との関連可能性


最近の報告では、7歳までにアレルギー性疾患、特に喘息を発症する子供は、発症していない児と比べて、口腔内細菌叢の多様性が低下しており、検出される細菌種にも違いが見られ、発症していない児ではラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス クリスパタス(Lactobacillus crispatus)が多かった、との示唆もなされています(Dzidic M et al. Oral microbiota maturation during the first 7 years of life in relation to allergy development. Allergy 2018; 73: 2000-2011.)。

腸内だけでなく口腔内においても多くの細菌が生息していますが、口腔内細菌とアレルギーとの関連については、文献は多くないところでもあります。
特定の細菌が異常増殖をすると、多様性が低下し環境が悪くなる場合もあり、またLG21 ラクトバチルス・ガセリOLL2716 においては、ピロリ菌の除菌、感染防御性を挙げる意見もありますが、今後も情報をアップデートしていきたいと思います。

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