1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

炎症した皮膚における色素沈着の改善とは? 2.17更新

2019.01.24

投稿者
クミタス

皮膚に炎症を起こした結果、その部位に色素沈着を起こすことがあります。同じ部位を繰り返し掻いているうちに炎症鎮静に時間を要することもありますが、色素が沈着した皮膚の色素が健康な状態に戻るためにはどのような対応策があるのでしょうか?

・炎症の早期鎮静
・皮膚を掻くことをやめる
(無意識の掻き癖による掻把対策として手袋着用など)
・当該部位に刺激を与えない
(チクチクする衣類、衣類の縫い目や髪の毛などの刺激を避ける)
・保湿
・当該部位への紫外線照射を避ける
・十分な睡眠
・(発汗時に痒くならないようであれば)適度な運動(発汗により角質層が湿潤など)

皮膚の状態を良くするうえでは、上記などが可能性として考えられます。

塗布剤による効果は?


塗布剤による効果一例として文献に記載があるものに以下などがあります。

・エラグ酸配合製剤の発疹後色素沈着に対する効果可能性
0.5% エラグ酸+2%アスコルビン酸 2-グルコシド+0.1% リキリチンのクリームを、1 日 2 回外用を行い、多くは 3~6か月間効果を観察してその効果をみた。肝斑は 68 例中有効 63 例で有効率 92.6%、日光黒子は 62 例中 22 例有効で有効率 35.5%、色素沈着型化粧品皮膚炎は 4 例全て有効、発疹後色素沈着では 19 例中 18 例有効で有効率 94.7%であった。
副作用は全 161 例において1 例もみられなかった。エラグ酸他 2 種の成分はこれまで用いられてきた各種美白剤のキノン系やピロン系,レゾルシン系などと全く化学構造の異なるため、感作が起こらず、刺激も白斑もみられなかった(出典・参照:合剤型 Ellagic Acid(エラグ酸)クリーム(AAGE クリーム)外用の各種色素沈着症への効果 中山秀夫、陳科栄、陣内宏行)

エラグ酸は天然フェノール系の抗酸化物質で、アスコルビン酸 2-グルコシドは、ビタミンC誘導体の一種、リキリチンはカンゾウ由来のイソフラボン類で保湿目的で使用されます。

・エラグ酸配合製剤の炎症後色素沈着に対する効果
70人の女性被検者に0.5%エラグ酸配合製剤を1日2回1ヶ月以上から3ヶ月以内の期間毎日被検部位に塗布してもらい、2週間に1回経過観察を行ったところ、極めて有用(33.3%)、有用(33.3%)、やや有用(26.7%)、有用とは思われない(6.7%)、悪化(0%)であった(出典・参照:XSC-29製剤の紫外線照射による色素沈着に対する予防効果に関する臨床評価成績 ​上出 良一 他)

・エラグ酸配合製剤の紫外線照射による色素沈着に対する予防効果
70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と、対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で改善度、副作用の両面から有用度を評価したところ、70人のうち60人(86%)が「やや有用である」以上とされた。またいずれの被検者においても副作用はまったく認められなかった(出典・参照:色素沈着症に対するエラグ酸配合製剤の有用性評価 横山 美保子、伊藤 祐成)

ほかにエラグ酸と同じく、チロシナーゼ活性抑制作用があると考えられるものにコウジ酸なども挙げられます。

経口剤による効果は?


経口剤による効果一例として文献に記載があるものに以下などがあります。

・トラネキサム酸配合経口薬による炎症後色素沈着症に対する効果可能性
顔面の色素沈着症〔肝斑、老人性色素斑(日光性黒子)、炎症後色素沈着症〕に対するDH-4243(トラネキサム酸配合経口薬)の有効性、安全性をオープン試験により検討。色素沈着症患者73例にDH-4243を1回2錠,1日3回毎食後に8週間または16週間経口投与し、色素沈着改善度をスキントーン・カラースケール、画像診断および患者の印象により評価した。
スキントーン・カラースケールによる色素沈着改善度は、8週間投与では、老人性色素斑37.9%(11/29)、炎症後色素沈着症14.3%(1/7)、16週間投与では、肝斑80.0%(4/5)、老人性色素斑44.8%(13/29)であった。老人性色素斑については8週間投与に比較して16週間投与で改善率が高かった。
また安全性において特に問題は認められなかった(出典・参照:色素沈着症に対するDH-4243(トラネキサム酸配合経口薬)の多施設共同オープン試験)

紫外線による酸化を抑える、黒色メラニンの還元、コラーゲン繊維の構築などに有用との示唆のあるビタミンCの内服など、塗布剤においても上記以外にも使用されることのある製剤、また美白成分とされるものはありますが、炎症後色素沈着の観点では皮膚刺激性なども考慮のうえ、気になる方は相談されるのが望ましいでしょう。

アトピー性皮膚炎と発汗
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2733

    {genreName}

      {topics}