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洗顔料に含有する食物抗原によるアレルギー~小麦以外の例

2019.04.09

投稿者
クミタス

茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギ(グルパール19S)による即時型コムギアレルギーの例
茶のしずく石鹸(加水分解コムギ)によるアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2087
以外にも、洗顔剤、ベビーオイルやスキンケアオイル、クリームを使用していて、これらに含まれる食物成分に経皮感作し、アレルギーを発症することがあります。

ケース1
アトピー性皮膚炎、喘息病歴のある42歳女性。約3か月間、毎日トウモロコシを含む洗顔料を使用して洗顔をし、9か月間使用を中断。その後トウモロコシを含む洗顔料を使用再開したところ、30分以内に顔面の赤み、腫れ、結膜の充血、咽頭部の不快感、胴体と上肢に紅斑が出現。病院にてステロイド薬(静脈注射、内服)投与により症状は鎮静した。20日後にトウモロコシ由来成分を含む菓子を摂食し、口唇隆起を生じ、トウモロコシアレルギーの疑いにて洗顔料、洗顔料の全成分、トウモロコシ抽出物を使用して皮膚プリックテストをおこなったところ、洗顔料(0.1%水溶液、0.01%水溶液)、トウモロコシベースの成分(0.01%水溶液)、およびトウモロコシ抽出物に陽性反応を示した。
洗顔料の使用をやめてから1年後、トウモロコシとキビに対する血清中の特異的IgE値は、ピークレベルの4分の1にまで低下し、洗顔料の使用をやめてから2年後には、トウモロコシ、キビに対する特異的IgE値は陽性ではなくなっていた。一方、プリックテストでは石鹸の使用中止1年後、2年後においても症状出現当時と同程度の反応が認められた。
尚、症状出現以降石鹸の使用、トウモロコシを含む食物の摂食を中止してからは、アレルギー症状は出現していない。

当該製品の説明文言(当該製品Webページより)
「ベースとなるタルクがお肌に密着することで汚れや余分な皮脂を吸着し、粒子の大きさが異なる2種類のトウモロコシパウダーがスクラブとなって毛穴の汚れや古い角質を除去。ほのかに香るフェアトレードシナモンパウダーが肌表面を清潔に整え、栄養豊富なコーンオイルが洗い上がりのお肌にしっとりとした潤いを与えます」

ケース2
アトピー性皮膚炎、花粉症の病歴のある40歳女性。オート麦の摂食経験はなかったと認識しているが、オート麦とアーモンドを含む石鹸を使用し約6年間毎日全身を洗浄。使用開始から2年後、湿疹が手に現れ始め、4年後、小麦やナッツを含むケーキやクッキーなどを摂食し全身に膨疹、咽頭の不快感、下痢を発症。食物アレルギーが疑われ、石鹸、小麦エキス、ナッツでの皮膚プリックテストでは、石鹸(0.1%水溶液)、小麦エキス、数種類のナッツに陽性、石鹸の使用前に小麦特異的IgE抗体値は陽性ではなかったが、オート麦、小麦、数種類のナッツの特異的IgEレベルは上昇していた。
石鹸の使用をやめてから半年後には、オート麦、小麦、ナッツの特異的IgE値はピークレベルの半分にまで低下し、摂食を中止して以降、症状は出現しなかった。石鹸の使用をやめてから半年後の皮膚プリックテストでの反応に変化はなかったが、8か月後にはオート麦に対してのみ陽性反応を示した。
ナッツへの感作が石鹸使用とどのような関連があるかは不明であり、オート麦抗原の経皮感作の可能性と小麦アレルギー発症との関連について交差反応の詳細な分析はおこなわれていないが、食物成分含有石鹸使用を機としたアレルギー発症の可能性が考えられる。


ケース1、ケース2ともアトピー性皮膚炎に罹患している方での発症になりますが、皮膚に掻き傷、湿疹、炎症のある方、皮膚バリア機能が発達途上の乳幼児期や擦り傷など皮膚トラブルのある方においては、食物成分を含む洗顔料、化粧品を使用することにより、将来的にアレルギーの発症リスクを高める可能性があり、当該食物成分を含む食品を摂食して食物アレルギーを発症することがあります。
小麦以外にも、上記例のようにトウモロコシ、オート麦、またピーナッツ、ナッツなど様々な食物成分が原因となり得ますので、既にアトピー性皮膚炎に罹患している方、湿疹歴のある方などにおいては、ご留意ください。


出典・参照:Food-induced anaphylaxis in two patients who were using soap containing foodstuffs

化粧品に含まれることのある食物由来成分の含有程度例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2716

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