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短鎖脂肪酸とアレルギー

2019.05.11

投稿者
クミタス

腸内細菌による食物繊維の発酵代謝産物に、酢酸、酪酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸が挙げられます。酪酸菌はビフィズス菌増加の補助をし、酪酸菌が産生する酪酸は腸管壁の栄養となり、また腸内を酸性に保ち悪影響をもたらす菌の増殖を抑える働きがあります。
酪酸はIL-10産生、Treg分化を促進することで抗炎症効果を高める可能性があり、プロピオン酸は、脂肪酸受容体GPR41を活性化し、骨髄におけるマクロファージと樹状細胞の前駆細胞の分化に影響を与え、アレルギーを引き起こす Th2免疫応答を阻害し、アレルギー抑制作用を示す可能性が示唆されています。

出生コホートから301人の1歳時点の便中短鎖脂肪酸量とその後のアレルギー性疾患との関連を検討したところ、酪酸およびプロピオン酸を多く有する児では、3~6歳時点のアレルゲン感作や喘息発症が低く、酪酸を多く有する児では食物アレルギーまたはアレルギー性鼻炎と診断された報告数が少なかった。またマウスでの試験では、短鎖脂肪酸を経口投与することでアレルギー性気道炎症の重症度が低下した、との報告もなされています。

食物繊維を含む食品の摂食などにより産生される短鎖脂肪酸は、軟便、下痢便気味の方にとっても腸の健康上有用とも見られています。上記は短鎖脂肪酸の産生を促すことで、その後のアレルゲン感作やアレルギー性疾患発症抑制、重症度低下に影響を及ぼす可能性があるとの示唆になりますが、他の報告などもご紹介していきたいと思います。

出典・参照:High levels of butyrate and propionate in early life are associated with protection against atopy

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