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特異的IgE値がクラス5、6症例での食物経口負荷試験

2019.07.06

投稿者
クミタス

食物アレルギーにおいて除去解除可能となるかどうかは、原因食物によっても違いがありますが、特異的IgE抗体価が高値であること、合併するアトピー性皮膚炎の重症度は、耐性獲得の遷延に影響する可能性のある因子としての示唆もあります。
​しかしながら特異的IgE値が高値の食物で食物経口負荷試験をおこなった場合でも、少量での実施、症状出現時にも速やかに治療をおこなうなどで、摂取可能となることもあります。

2015年4月1日~2018年3月31日までに鶏卵、小麦、乳の食物経口負荷試験をおこなった736人(男480人、女256人。10か月~17歳。中央値23か月)のうち、食物経口負荷試験実施前の検査で抗原特異的IgE値がクラス1~4の群(523人。年齢中央値21か月)と、クラス5~6の群(213人。年齢中央値36か月)に分け食物経口負荷試験の安全性、その後の食事指導について検討したところ、食物経口負荷試験の陽性率は抗原特異的IgE値がクラス1~4の群で79%、抗原特異的IgE値がクラス5~6の群で92%、食物経口負荷試験により出現した誘発症状への治療は抗原特異的IgE値がクラス1~4の群で46%、抗原特異的IgE値がクラス5~6の群で62%で必要となった。
食物経口負荷試験実施後、摂食開始の指導は抗原特異的IgE値がクラス1~4の群で88%、抗原特異的IgE値がクラス5~6の群で67%でおこなうことができ、クラス5、6群においても、36%でゆで卵白1g以上、28%でゆで素麺1g以上、20%で牛乳1ml以上から開始となった(出典・参照:鶏卵・小麦・乳の食物経口負荷試験(OFC)-特異的IgE値がclass5および6の症例の検討-)。

食物経口負荷試験の実施6か月前に抗原特異的IgE値がクラス5~6の46人(鶏卵27人、乳12人、小麦7人)のうち、食物経口負荷試験陽性は24人(52.2%)で、少量の食物経口負荷試験では、乳、小麦と比較し鶏卵の陽性率が低かった。アナフィラキシーは9人でおこり(鶏卵2人、乳4人、小麦3人)、5人(乳3人、小麦2人)でアドレナリン筋注を要した。
食物経口負荷試験陽性者においては、アトピー性皮膚炎合併、アナフィラキシーの既往、総IgE抗体値が高値である割合が高く、食物経口負荷試験で陰性であった方においては、対象食物を未摂取であった方の割合が有意に高かった。
また食物経口負荷試験によりアナフィラキシーを起こした方においては、喘息合併率、アナフィラキシー既往割合が高かった(出典・参照:抗原特異的IgEクラス5、6症例における食物経口負荷試験の検討)。

特異的IgE高値のため未摂取であったものの、時間経過とともにに一定量は摂取可能な状態になっていることもあります。
今までに誘発症状が確認されている患者さんにおいても、少量での実施、症状出現時に対応可能な体制下で食物経口負荷試験をおこなえることで、食物経口負荷試験の実施意向が高まり、少量は摂取可能になっていた方における長期での必要以上の除去を防ぐこともできるかもしれません。

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