1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

日光と皮膚疾患③ 光アレルギー性の光線過敏症

2019.07.19

投稿者
クミタス

太陽からの光線には、UVBよりも深部の真皮中層まで到達する紫外線A波(UVA)、日焼けの主な原因になりますが、皮膚に存在する前駆体が吸収することでビタミンD3が形成される面もある紫外線B波(UVB)、紫外線C波(UVC)、植物の光合成反応を担いヒトの目に見え体内時計に影響する可視光線、また赤外線、X線、ガンマ線があります。

オゾン層により吸収され地上に届くのは、赤外線、可視光線、紫外線A波(UVA)、紫外線B波(UVB)になり、そのうち可視光線が最も多く51.8%、赤外線 42.1%、紫外線A波(UVA) 5.6%、紫外線B波(UVB) 0.5% を占めます。
波長は赤外線は780nm以上、可視光線400~780nm、紫外線A波(UVA)320~400nm、紫外線B波(UVB)280・290~320nmと違いがあります(光医学、光生物学などの分野での区分。分野・定義により数値は異なることがあります)。

紫外線A波(UVA):4月~8月は11月~1月の2倍ほどの量(地域差があります)。
10時~14時が量の多い時間帯で、UVBに比べ日内変動が少なく、朝もある程度の量があります。
サンスクリーン剤などで表記される PA 値は、紫外線A波(UVA)を防ぐ効果の目安を表しています。
サンスクリーン剤で紫外線吸収・散乱剤として主に酸化亜鉛が使用されています。
日焼けサロンのタンニングマシンで使用されることが多いとされています。

紫外線B波(UVB):夏に向けて増加し、7~8月は12月~1月の5倍ほどの量になります(地域差があります)。
10時~14時が量の多い時間帯。
ガラスにて多くは遮断が可能。
サンスクリーン剤などで表記される SPF 値は、紫外線B波(UVB)を防ぐ効果の目安を表しています。
サンスクリーン剤で紫外線吸収・散乱剤として主に酸化チタンが使用されています。

可視光線:ブルーライトは波長が380~500nmで主に可視光線に該当します。白熱電球では、電球内部のフィラメントを電気で加熱し、その熱放射の際に発生する電磁波の一部を可視光線として利用しますが、その可視光線への変換効率が10%ほどであるのに対し、LEDでは変換効率は30~50%となり、白熱電球よりも可視光線に変える率が高い特徴があります。

顔面、手の甲や腕、首、背中などの日光曝露により皮膚症状が出現した場合、光線過敏症が疑われますが、
日光と皮膚疾患② 光線過敏症と食物
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2724
日光と皮膚疾患①
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2146

そのうち光アレルギー性の光線過敏症においては、光線そのものがアレルゲンとなりアレルギー反応を生じるのではなく、アレルゲンの形成過程に光を要します。生体内の光線を吸収する分子(クロモフォア)が特定の波長の光線を吸収することにより、何らかの光化学反応を生じて、分子(クロモフォア)が変化しアレルゲンとなる、もしくは分子(クロモフォア)が生体タンパクと結合しアレルゲンとなる場合があります。
感作を経て、再び原因物質に光線曝露を受けると、アレルギー反応を起こし、紅斑や丘疹、膨疹、また浮腫、水泡、びらんを形成します。

多形日光疹は10~20 歳代の女性、40歳代~の男性で比較的に見られ、露光後数時間してかゆみを伴う紅斑や丘疹状皮疹、小水疱などが現れ、24時間以上続くことがあります。また、日光に対して耐性(hardening)を示すことで、露光頻度の高い顔や手の甲などは腕などと比べると皮疹が出にくいことがあるともみられています。慢性に経過する傾向もあり、日本人では紫外線B波(UVB)が原因となることが比較的多いとの示唆があります。

慢性光線性皮膚炎の症状は、多形日光疹に似ていますが、より強いかゆみから掻破痕を伴うことがあります。紫外線A波(UVA)が、紫外線B波(UVB)よりも原因となることが多いとも見られています。

日光蕁麻疹においては、紫外線A波(UVA)、紫外線B波(UVB)でのテストでは反応を示さず、可視光線により膨疹を示す例も少なくなく、小児~高齢者まで症例があります。露光し数分~30分前後に露光部に限局して紅斑、膨疹を生じますが、日陰に移動するなどで数時間内に消退します(抑制波長を伴っている方においては、露光時には蕁麻疹は出現せず、日陰に移動してから出現することがあるとの示唆もあります)。また、頭痛、めまい、吐き気などの全身症状を伴い、アナフィラキシーをおこす場合もあります。
可視光線のみが原因の場合は、サンスクリーン剤での防御があまり有用でないこともあり、また抗ヒスタミン薬の有効性には限界があるとの示唆もなされていますが、抗ヒスタミン薬を内服しながら、わずかに紅斑が出現する程度の日光照射を継続する hardening治療をおこない、症状が軽快傾向にある64歳男性の例の報告もあります。

原因となる波長の探索と、適した防御策、対応により症状悪化防止、軽快へとなる可能性もあります。
また新たな情報をアップデートしていきたいと思います。

出典・参考:可視光線による日光蕁麻疹の2例 ほか

    {genreName}

      {topics}