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気管支喘息治療における生物学的製剤

2019.08.29

投稿者
クミタス

気管支喘息治療における生物学的製剤としては、抗IgEモノクローナル抗体のオマリズマブ(ゾレア)と抗IL-5モノクローナル抗体のメポリズマブ(ヌーカラ)、抗IL-5受容体αモノクローナル抗体のベンラリズマブ(ファセンラ)、抗IL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体のデュピルマブ(デュピクセント)があります。

オマリズマブ(ゾレア)は、血中のIgE、IgE受容体、IgE産生を抑制し、60%の喘息患者さんに有効との示唆があり、メポリズマブ(ヌーカラ)は、血中の好酸球数が高値の重症喘息患者さんに、4週毎の投与にて32週間における重要な喘息増悪がプラセボ群との比較で53%減少、経口ステロイドを50%まで減量、76週間にわたり減量効果を維持する効果があるとの試験結果が示されています。ベンラリズマブ(ファセンラ)は、好酸球の細胞死をも誘導できる特徴をもち、重症喘息患者さんに対して最初の3回は4週毎、その後は8週毎の投与で、喘息発作の減少、経口ステロイド減量、デュピルマブ(デュピクセント)は年間喘息増悪発生率がプラセボと比較して46.0%減少、呼吸機能(FEV1)は、12週時にはベースラインから340mL改善したなどの結果も示されています。

生物学的製剤においても作用機序が異なると、有効である方、そうでない方が存在することがありますが、製剤を切り替えて有効となった小児重症気管支喘息の例などもあります。

13歳女児。1歳時に気管支喘息と診断され、吸入ステロイド薬(ICS)を使用したが急性増悪を繰り返した。吸入ステロイド薬(ICS)の増量、吸入法の変更を行っても急性増悪を繰り返し、最重症持続型と考えられた。10歳時にオマリズマブを導入し、一旦改善したが2年後から吸入ステロイド薬(ICS)使用遵守にもかかわらず小発作を認めるようになった。12歳時にメポリズマブへと変更した後からは急性増悪は消失し、呼吸機能も改善し、血清総IgE値や末梢血好酸球数の低下も認めた(出典・参照:生物学的製剤を変更しコントロール良好となった小児重症喘息の1例)。

上記はオマリズマブを投与中にコントロールが不良となり、メポリズマブへ切り替えた例ではありますが、この例に限らず製剤を切り替えることで、より適した製剤により治療効果が良くなることもありますので、相談もできるのが望ましいでしょう。

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