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鉄欠乏ついて

2020.05.08

投稿者
クミタス

鉄は食物からの吸収率が比較的低く、欠乏しやすい面があります。小児における鉄欠乏については、こちらでも掲載していますが
食物アレルギーの観点での小児における鉄欠乏
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1830
離乳食において鉄含有量が少ない食物を続けて摂取していると鉄不足になりやすく、また成人においても鉄不足に際しては、まずは鉄の摂取に心がけたいところであり、鉄の吸収率を高めるうえでは、以下観点が挙げられます。
・ヘム鉄は非ヘム鉄より吸収率が高い
ヘム鉄(吸収率15~25%):豚肉、牛肉、鶏肉、鶏レバー、もつ、赤貝、かつお、いわし、まぐろなどの魚類(特に血合い部分)
非ヘム鉄(吸収率2~5%):鶏卵、しじみ、あさり、牡蠣、大豆、あずき、ココア、ほうれん草、小松菜、がんもどき、ひじき、プルーン、レーズンなど
・ビタミンC、クエン酸、酢を同時に摂取すると、非ヘム鉄の吸収が促進する
・動物性タンパク質を同時に摂取すると、非ヘム鉄の吸収が促進する

また、鉄を摂取していても鉄欠乏性貧血になる場合もありますが、月経や消化管出血などの鉄喪失、成長や妊娠による鉄需要増大以外にも以下などが原因と考えられています。
・鉄剤の吸収障害(萎縮性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、セリアック病など)
・鉄以外の造血因子の欠乏(ビタミンB12や葉酸、腎臓で産生、分泌されるエリスロポエチン、銅などの微量元素、内分泌系疾患によるホルモンの不足)
 尚、ビタミンB12や葉酸の欠乏は、巨赤芽球性貧血を引き起こします。
・ほかの貧血疾患(腎性貧血や造血器疾患など)の併存
・TMPRSS6遺伝子変異による鉄剤不応性鉄欠乏性貧血

日本人の鉄欠乏性貧血患者さんにおいて、氷をボリボリ食べる氷食症の症状が現れる場合もあり、鉄剤の投与により消失することがあります。必ずしも鉄欠乏が背景にあるとは限りませんが、意識されても良いかもしれません。
鉄欠乏は世界的にも見られますが、吸収を高めた鉄摂取、またビタミンB12、葉酸などの鉄以外の造血因子の摂取も意識できるのが望ましいでしょう。

ビタミンB12を多く含む食品:かつお、赤貝、あさり、まぐろ、いわし、かつお、鮭、あなご、牡蠣、レバー(牛、豚、鶏)、牛乳、海苔など
葉酸を多く含む食品:卵、牡蠣、レバー(牛、豚)、菜の花、ほうれんそう、小松菜、キャベツ、ゴーヤ、ブロッコリー、さつまいも、いちご、オレンジ、みかん、メロン、柿、大豆など

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