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感染症と難聴

2019.10.03

投稿者
クミタス

感染症を発症し難聴となることがあり、関与する可能性のあるウイルスとして、小児期は特にサイトメガロウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎。ムンプスウイルス)などが挙げられています。

おたふくかぜの合併症として急性の感音難聴であるムンプス難聴を発症することがあります。ムンプス難聴はワクチンで予防することが唯一の対策でもありますが、ムンプスワクチンに副反応として無菌性髄膜炎の懸念があることなどもあり、任意接種のため接種率は40%ほどと低い状況でもあります。
2015~2016年の2年間に発症したムンプス難聴症例について全国の耳鼻咽喉科を標榜する5565施設にアンケート調査を行い、回収した3,906施設からの回答 (回答率70%)によると、少なくとも359人が罹患し、そのうち詳細が明らかな335人において、発症年齢は特に就学前および学童期と30歳代の子育て世代にピークが認められ、一側難聴は320人 (95.5%)、両側難聴は15人 (4.5%) 、そのうち一側難聴では290人 (91%) が高度以上の難聴で、両側難聴の12人 (80%) は良聴耳でも高度以上の難聴が残存していた。初診時と最終聴力の経過を追えた203人中55人 (27%) は経過中に聴力の悪化を認め、うち52人 (95%) は重度難聴となっていた。反対に改善が認められたのは11人 (5.0%)であった(出典:2015~2016年のムンプス流行時に発症したムンプス難聴症例の全国調査)。

先天性風疹症候群では妊娠20週位までに感染した場合、難聴発症頻度が高くなり、サイトメガロウイルスは子宮内感染の場合、生後6か月以降に難聴が出現し進行するとも見られています。出生後の感染により難聴に至ることがある麻疹ウイルス、おたふくかぜ(ムンプスウイルス)以外にも水痘・帯状疱疹ウイルス、アデノウイルスなども聴覚に影響を及ぼすことがあります。
おたふくかぜワクチンによる髄膜炎症状は、3歳未満で初回接種した場合と3歳以上で初回接種した場合では、3歳以上で接種した方の発症が多いとの示唆があり、接種方法によっても副反応に違いがある可能性があります。一方、多くはないもののムンプスワクチンによる難聴の副反応も報告されており、感染症発症により合併症を伴うことがあることがあることの理解とともに、よりリスクの低いワクチン、接種方法も望まれるところでしょう。

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