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2019.10.22
皮膚バリア機能が破綻したり、炎症、細菌・真菌が増殖した角層においてはpHが上昇する傾向があります。pHが上昇すると透過性バリア機能が低下し、角層がはがれやすくなる、Th2型の炎症が生じやすくなる、またpH上昇自体が皮膚上の黄色ブドウ球菌の増殖を促進するとみられています。
皮膚バリア機能が低下するとアレルゲンが侵入しやすくなり、皮膚に存在する抗原提示細胞や炎症関連細胞が活性し、最終的にTh2型免疫応答を惹起しますが、TSLP(thymic stromal lymphopoietin)の関与が考えられています。
正常な皮膚表面は、pH 4.5~6.0の弱酸性に保たれていますが、皮膚表面が弱酸性に保たれることによりブドウ球菌、真菌などの異常増殖が抑制される面があります。
pH上昇の背景
・皮疹の程度によっても皮膚pHは異なり、悪化していると上昇する傾向がある
・汗に含まれる成分は時間とともに変化しますが、時間が経過するにつれ皮膚pHは上昇するとの示唆がある
・健常者では、弱アルカリ性などの洗顔料で洗顔して皮膚表面の汗や皮脂膜を取り去ったとしても、15 分~2 時間ほどで pH 値は洗浄前に戻る。が、加齢とともにpH 値が洗浄前の状態に戻る時間は長くなる
弱酸性の維持には、皮脂中の脂肪酸(トリグリセリドや遊離脂肪酸など)、汗中の乳酸、角質層中のアミノ酸、ウロカニン酸などの外因性の pH 調節因子のはたらきと、フィラグリン分解産物や分解酵素のsecretory phospholipase A2(sPLA2)、タンパク質のNa+/H+ exchanger 1(NHE1)などの内因性因子のはたらきが関与しているとも考えられています。
化粧品の pH 調整剤としても使用されているラクトビオン酸(LBA)を用いて、アトピー性皮膚炎が発現した NC/ Tnd マウスの治療実験を行った。皮膚のpHが弱酸性に保たれるようにラクトビオン酸を毎日塗布すると、経皮水分蒸散量の減少と臨床症状(痒み、発赤、浮腫、乾燥、擦過傷なと)の改善、皮膚での炎症性サイトカインの低下、皮膚の肥満細胞や好酸球の減少が認められた。この時上皮組織でのカリクレイン5(KLK5)およびPAR2 の発現と、TSLP 産生の低下が確認された。このことから、アトピー性皮膚炎を発症している皮膚において、pHを弱酸性に保つことにより皮膚炎症状が緩和すること、pHの低下が、カリクレイン5(KLK5)の発現を抑制することで皮膚炎症状を改善する可能性が考えられる、との報告がなされています(出典:Maintenance of an acidic stratum corneum prevents emergence of murine atopic dermatitis.)
カリクレイン5(KLK5):タンパク質分解酵素のセリンプロテアーゼの1つで、ヒトの皮膚に発現し角層の剥離を促すと考えられています
PAR2:プロテアーゼ活性化受容体2。アトピー性皮膚炎において病変形成やかゆみへの関与が考えられています。
TSLP:Thymic stromal lymphopoietin。サイトカインの1つでTh2型免疫応答を誘発し、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーといったヒトのアレルギー疾患に関与する可能性が考えられています。
pH上昇を抑えるための方策例
あくまで外側からできる皮膚のpH上昇を抑え得る方策として、以下が有用となる可能性があります。
・汗は時間経過とともに重炭酸イオン濃度などが上昇し、pHが上昇するとも考えられており、汗をかいた後は長時間そのままにしておくのではなく、洗い流したりふき取れるようにする
・アルカリ性の石鹸や洗剤使用により角質細胞からの炎症性サイトカインの産生を惹起し、経皮水分蒸散量(TEWL)が増加し、皮膚pH上昇に影響する可能性があるとの示唆もあります。弱酸性の洗浄剤、塗布剤を使用することは、pH上昇を抑える方策として有用となり得るかもしれません。
弱酸性の洗浄剤例:ミノン、コラージュフルフル液体石鹸 など
塗布したりこすったりする際に皮膚に物理刺激が加わることで、痒みが誘発されたり、人によっては含有物質に反応する場合もありますのでご留意ください。
出典・参照:Na+/H+ Exchanger 1 は皮膚 pH と肌荒れに関与する
アトピー性皮膚炎における皮膚 pH と皮膚バリアとの関連性に関する研究 ほか
ゆかりR (26g)
1.9kcal/1gあたり
8406
Koheih
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