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手術とアレルギー発症

2019.12.19

投稿者
クミタス

制酸剤、抗菌薬の使用は、腸内細菌の構成に影響する要因となり、腸管免疫機構に影響を及ぼす可能性が考えられていますが
腸内細菌叢と炎症、アレルギー~制酸剤、抗菌薬
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2655
周術期の絶食により消化管粘膜が委縮することがあり、消化管粘膜の委縮もアレルギーの誘発要因になり得るとも考えられており、また新生児、乳児期早期に手術をおこない消化管粘膜への侵襲がある児において、食物アレルギーの発症リスクが高くなる可能性についての示唆もなされています。

2013年1月~2018年12月までに生後6か月以内に全身麻酔下で手術をおこない、生後12か月以降に受診歴がありアレルギー歴が確認できた77人(男児47人、女児30人)のうち、
新生児・乳児消化管アレルギーを発症したのは3人で、2人は日齢1に手術をおこなった後、日齢8、日齢10に血便で発症、もう1人は壊死性腸炎に対し小腸部分切除術がおこなわれて47日後に血便、嘔吐で発症した。3人とも腸管粘膜への侵襲をともなう術式であった。
主にIgE依存性の食物アレルギーを発症した児は15人で、鶏卵12人、乳6人、小麦2人(重複あり)であり、新生児期に手術をおこなった群、抗生剤を術前から術後まで継続した群、消化管粘膜への侵襲を伴う手術を施行した群で有意に食物アレルギーの発症が多かった(出典・参照:新生児および乳児期早期の手術と食物アレルギー発症についての検討)。

新生児期に、粉ミルクなど最初の経腸栄養で症状が出現していなくても、手術などの外科的介入やそれに伴う抗生剤の使用により消化管免疫に影響を及ぼし、新生児・乳児消化管アレルギー(新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症)やIgE依存性の食物アレルギーの発症につながる可能性があるとも見られています。今後も発症、誘発要因についてアップデートしていきたいと思います。

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