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防水スプレーの吸入による肺障害

2019.12.23

投稿者
クミタス

フッ素樹脂、石油系炭化水素、LPGなどが成分の市販の防水スプレーは、衣類や鞄、靴の防水目的で使用されていますが、防水スプレーを使用していて含有成分を吸入し、肺障害をおこすことがあります。
・39 歳男性。靴工場で防水加工剤を噴霧する作業をしていたところ、開始約2時間後より呼吸困難、頭痛、寒気が出現。翌日入院となり、胸部high-resolution CTで肺野全体にびまん性すりガラス様陰影が、気管支肺胞洗浄液では好中球増多(30%)を認められた。無投薬にて経過をみたところ約1週間で軽快した(出典・参照:靴工場における防水加工剤吸入による肺障害の1例)
・49歳男性。換気の悪い室内で防水スプレーを噴射した直後から呼吸困難が出現したが、喫煙後に症状が増悪したため受診。低酸素血症と胸部CTで、両側肺野のすりガラス状陰影と気腫性変化が認められ入院となった。気管支鏡検査を行い、気管支肺胞洗浄液の細胞分画で好中球が50.0%と増加していた。防水スプレー吸入による肺障害と診断され、高度の低酸素血症が認められたため、酸素投与とステロイドパルス療法が行われた。プレドニゾロンを内服し、発症2週間後の胸部CTですりガラス状陰影は改善していたが、新たに気管支壁の肥厚とその周囲の浸潤影、小葉間隔壁の肥厚を認めた。プレドニゾロンの内服を続け、入院2カ月後に酸素投与の中止に至り、胸部CTでは陰影は改善し、気腫性変化のみ残存した(出典・参照:防水スプレー吸入による肺障害が遷延した1例)。

原因物質としてフッ素樹脂が考えられていますが、防水スプレー吸入直後に喫煙をすると、熱分解産物を発生させ、肺障害を増悪、長引かせるとも示唆されています。
雨具、ウインドブレーカーなどの衣類、リュックサックや靴の防水目的でスプレーを使用する際は、屋外など換気の良い環境下でおこない、直接吸い込まないよう着衣した状態でスプレーを使用しないようにし、喫煙者は喫煙による増悪リスクに留意するのが望ましいでしょう。

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