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ハチ刺傷経験と症状、特異的IgE抗体値の状況

2020.03.07

投稿者
クミタス

ハチ刺傷による反応については、以下にも掲載しておりますが
ハチ刺傷による反応
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2312
ハチ毒(蜂毒)のアレルゲン免疫療法
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2932
ハチ刺傷による症状出現ケースとして以下も追記したいと思います。

・100回以上ハチ刺傷後にアナフィラキシー発症
自家製のハチ酒を作り飲酒(ハチを焼酎に漬け込み上清を飲む)することを趣味としていた75歳男性(卵アレルギーの既往あり)。いままでに100回近くハチに刺傷されていた(と認識している)が、アナフィラキシーショックを含めてとくに症状は発現せず、軽度の発赤のみで治癒していた。
ある日仲間とハチ捕虫をしていたところ、両肩の2カ所をスズメバチに刺されたが放置した。その後、数分して気分不快を認め、ハチに刺されたことを仲間に告げ、その仲間が30分後に確認したところ、路上に倒れているところを発見され救急要請された。

アナフィラキシーの症状がなくても、数年経過して皮膚テストで陽性となった方においては、ハチ刺傷により全身症状が出現する可能性があり、「2~3年内にハチ刺傷を経験し、全身症状が出現しなかった場合でも、皮膚プリックテストやハチ毒特異的IgE抗体は20~30%の人で陽性」、「ハチ刺傷による全身症状の有無に関わらず、ハチ毒特異的IgE抗体陽性者が再度刺傷した場合、全身症状が出現する確率は10~17%」との報告もあります。

一度全身症状が出現した皮膚テスト陽性者が再度刺傷した場合、全身症状が出現する確率は40~70%であり、約50~60%の人が前症状より重症化するとの示唆もあります。ハチ刺傷直後やハチ刺傷からかなりの年数が経過した場合は陰性となることがありますが、ハチ刺傷経験がある方においては、ハチ刺傷から数週間後などにハチ毒特異的IgE抗体検査を受けられるのも良いかもしれません。
また、スズメバチ、アシナガバチアレルギー患者さんは、林業、農業、ゴルフ場従事者、建設業、造園業の方、ミツバチアレルギーの方は養蜂業の方で多く、
ハチ刺傷による全身症状の有無に関わらず、ハチ(スズメバチ、アシナガバチ)毒特異的IgE抗体陽性者へのエピペン処方率は6~33%、
エピペンを作業中に携帯している人は52~78%、
ハチ刺傷による全身症状経験者でハチ毒特異的IgE抗体陽性者へのエピペン処方率は23~57%
16.7%でエピペンの再処方の必要性(消費期限切れなど)があった
また、林業従事者でアナフィラキシー症状が出現したにも関わらず65人中41人がエピペンを注射をしていなかった
など、ハチ刺傷機会の多い方における十分なエピペン処方、消費期限が切れていないエピペンの携帯、使用も望まれるところです。

出典・参照:100回近い刺傷歴を語る患者に初めて発症したアナフィラキシーショックの 1例
3.ハチ毒とアナフィラキシー ハチ毒アレルギー 独協医科大学埼玉医療センター呼吸器・アレルギー内科 平田博国 福島康次

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